見抜みぬ)” の例文
旧字:見拔
ジナイーダはすぐさま、わたしが彼女に恋していることを見抜みぬいたし、わたしの方でも、別にそれをかくそうとも思わなかった。
はつ恋 (新字新仮名) / イワン・ツルゲーネフ(著)
香具師やしは、どこからんできたものか、または、いつむすめ姿すがたて、ほんとうの人間にんげんではない、じつにめずらしい人魚にんぎょであることを見抜みぬいたものか、あるのこと
赤いろうそくと人魚 (新字新仮名) / 小川未明(著)
かみまなこはどんなことでも見抜みぬいているから……しかしそんなかんがえははやくすてねばならぬ。
そうして私はすれちがいざま、その老人の焦点しょうてんを失ったような空虚うつろ眼差まなざしのうちに、彼の可笑おかしいほどな狼狽ろうばいと、私を気づまりにさせずにおかないような彼の不機嫌ふきげんとを見抜みぬいた。
美しい村 (新字新仮名) / 堀辰雄(著)
三四郎はげかけたこしを又草のうへおろした。其時三四郎は此女にはとてもかなはない様な気が何所どこかでした。同時に自分のはら見抜みぬかれたといふ自覚にともなふ一種のくつ辱をかすかに感じた。
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
少なくともドクトル・ルーシンは、じきにわたしの腹を見抜みぬいた。
はつ恋 (新字新仮名) / イワン・ツルゲーネフ(著)