裏切うらぎ)” の例文
樣子やうすくと、汽船會社きせんぐわいしや無錢たゞ景物けいぶつは、裏切うらぎられた。うも眞個ほんたうではないらしいのに、がつかりしたが、とき景色けしきわすれない。
麻を刈る (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
畜生ちくしょう。う、うぬはよくも、おれを裏切うらぎりやがったな。一どは、なわにかかっても、このまま、獄門台ごくもんだいに命を落とすような龍巻じゃねえぞ。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
だから、ガンたちを裏切うらぎるようなことはないだろうということぐらい、とうぜんわかってくれなければこまります。
博士に裏切うらぎられたことへ、仕返しかえしをするために、夜になったら、きっと、博士の家にあらわれるものと信じていた。
これをかくさんとするも、これらの機関はほとんど裏切うらぎりするかのごとく、我々の心情を現すものである。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
兄さんは自分の身躯や心が自分を裏切うらぎ曲者くせもののように云います。それが徒爾いたずら半分の出放題でほうだいでない事は、今日きょうまでいっしょに寝泊ねとまりの日数ひかずを重ねた私にはよく理解できます。
行人 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
貴様もおとなしくしていれば、少しはわけまえにあずかれるのに、わしを裏切うらぎったばかりに、宝の山へ入っても、手をむなしゅうしてかえるよりほかはないのじゃ。わっはっは、わっはっは!
少年探偵長 (新字新仮名) / 海野十三(著)
その扇縄の区域へ、裏切うらぎり者がひそかにどくをしずめたので、夕方の兵糧時ひょうろうどきに、すべての者の腹中ふくちゅうへ、おそるべき酔魚草すいぎょそう毒水どくすいがめぐっている。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ところ汽船きせんは——うそだの、裏切うらぎつたのと、生意氣なまいきことふな。直江津なほえつまで、一人前いちにんまへ九錢也きうせんなり。……明治二十六七年頃めいぢにじふろくしちねんごろこととこそいへ、それで、午餉ひる辨當べんたうをくれたのである。
麻を刈る (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
よくも裏切うらぎって、おれを苦しめたな。こんどは、かならず、きさまをころしてやる!
さむらいのくせにして、慾に目がくらんで味方みかたを売る裏切うらぎりもの、多くの部下ぶかの見せしめのため、陣馬じんばはらち首にしてあげる
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
警官けいかんをよびやがって、よくも裏切うらぎったな……裏切り者め!」