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蝋細工
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ろうざいく
ふりがな文庫
“
蝋細工
(
ろうざいく
)” の例文
そのかわりにペンキ塗りの思想や
蝋細工
(
ろうざいく
)
のイズムが、新開地の雑貨店や小料理屋のように雑然と
無格好
(
ぶかっこう
)
に打ち建てられている最中に
写生紀行
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
まるで何か美しい
蝋細工
(
ろうざいく
)
が動いているみたいだし、こう
覗
(
のぞ
)
き込んでると、わたしだって、この可愛い
襟
(
えり
)
くびへ食いつきたくなっちまう。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
傍
(
そば
)
へ寄って触ってみると、白象は
蝋細工
(
ろうざいく
)
に綿を着せたもので、恰好は出来ておりますが、上に乗った普賢菩薩の、優れた尊像とは似も付かぬ
誤魔化
(
ごまか
)
し物です。
銭形平次捕物控:028 歎きの菩薩
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
しなくなした
前垂
(
まえだれ
)
がけの鶴さんや、
蝋細工
(
ろうざいく
)
のように唯美しいだけの浜屋の若主人に物足りなかったお島の心が、小野田のそうした
風采
(
ふうさい
)
に段々
惹着
(
ひきつ
)
けられて行った。
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
ちょうど
蝋細工
(
ろうざいく
)
の新婦の人形があって、首筋をあらわにし
橙
(
オレンジ
)
の花を頭につけ、窓ガラスの中で二つのランプの間にぐるぐる回りながら、通行人に
笑顔
(
えがお
)
を見せていた。
レ・ミゼラブル:07 第四部 叙情詩と叙事詩 プリューメ街の恋歌とサン・ドゥニ街の戦歌
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
▼ もっと見る
讓は
何時
(
いつ
)
の間にか
土間
(
どま
)
へ立っていた。背の高い
蝋細工
(
ろうざいく
)
の人形のような顔をした、黒い
数多
(
たくさん
)
ある髪を
束髪
(
そくはつ
)
にした凄いように
姝
(
きれい
)
な女が、
障子
(
しょうじ
)
の
引手
(
ひきて
)
に
凭
(
もた
)
れるようにして立っていた。
蟇の血
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
人がはいって来たので、そっちのほうへ向けたお高の顔は、
蝋細工
(
ろうざいく
)
のように澄んで、生気がなかった。口のまわりに、このあいだまでなかった
皺
(
しわ
)
のようなものが、かすかにできかけていた。
巷説享保図絵
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
そのとき、三千子の眼は、素早く或るものに
注
(
そそ
)
がれた。それは、奥から番号札を押し出した変に黄色い手であった。それはまるで、
蝋細工
(
ろうざいく
)
の手か、そうでなければ、
死人
(
しびと
)
の手のようであった。
鬼仏洞事件
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
之程生々した・美しい
蝋細工
(
ろうざいく
)
の面を未だ見たことがない。
光と風と夢
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
ある町の
角
(
かど
)
をまがって左側に
蝋細工
(
ろうざいく
)
の皮膚病の模型を並べた店が目についた。人間の作ったあらゆる美しくないものの中でもこれくらい美しくないものもまれである。
写生紀行
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
臨終の間際に、あれをと、お前の母親が、柱の隠し穴から取りださせたものを、細い
蝋細工
(
ろうざいく
)
みたいな手にふるえながら持った。
白蛇
(
はくじゃ
)
の
喉
(
のど
)
をおさえるようにつかんでいた。
鳴門秘帖:05 剣山の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
秀夫は
何人
(
だれ
)
か他の人に云っているだろうと思ったが、それでも顔を向けた。と、牡蠣船の姝な女が立っていた。それはたしかに
見覚
(
みおぼえ
)
のある
蝋細工
(
ろうざいく
)
のような姝な顔をした女であった。
牡蠣船
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
きょうは
復活祭
(
オステルン
)
だという。朝飯の食卓には朱と緑とに染めつけたゆで玉子に
蝋細工
(
ろうざいく
)
の
兎
(
うさぎ
)
を添えたのが出る。米国人のおばあさんは
蝋
(
ろう
)
とは知らずかじってみて変な顔をした。
旅日記から
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
加山
耀蔵
(
ようぞう
)
のふたりの同心の悪闘——そして名月の夜更けに闇から明るみへ出た花のごとき妙齢の死骸——ふしぎな彼女の
死笑靨
(
しにえくぼ
)
——おまけに
蝋細工
(
ろうざいく
)
の欠けたように左手の人さし指がない
牢獄の花嫁
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
細い、
蝋細工
(
ろうざいく
)
みたいな指が、何ものかを、宙に探った。トム公の髪の毛をつかんだのである。片方の手には、豆菊の背をつよく抱えよせて、異様な、泣くとも歓喜ともつかない声を、
咽
(
のど
)
から発した。
かんかん虫は唄う
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「あ。あの
蝋細工
(
ろうざいく
)
の亀八で」
牢獄の花嫁
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
蝋
漢検準1級
部首:⾍
14画
細
常用漢字
小2
部首:⽷
11画
工
常用漢字
小2
部首:⼯
3画
“蝋細工”で始まる語句
蝋細工同樣
蝋細工模型
蝋細工看板
蝋細工死人形