トップ
>
虻蜂
>
あぶはち
ふりがな文庫
“
虻蜂
(
あぶはち
)” の例文
尋ねてきた者は尋ね当てないで、尋ねもしないお綱から口約束を取られた上に、窓を閉められてしまっては、
虻蜂
(
あぶはち
)
とらずな訳である。
鳴門秘帖:02 江戸の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
そうなりましては
虻蜂
(
あぶはち
)
捕らず! ……いやそればかりでなく捕えられたところの、紀州における我らが同志に、おそらく一段の憎しみかかり
猫の蚤とり武士
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
「そんなにしてくれなくってもいいのに」——こうわたしが言う——「それじゃ
虻蜂
(
あぶはち
)
取らずになる。僕は独りで通れるから」
ぶどう畑のぶどう作り
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
やはり日本の食料が減って
虻蜂
(
あぶはち
)
とらずになるから、いままで通り七分
搗
(
づ
)
きばかり食べたらどうだい、といましめてみた。
うむどん
(新字新仮名)
/
佐藤垢石
(著)
虻蜂
(
あぶはち
)
とらず。——外国文字を国語で発音した上古の日本人よりも、さらに数等愚劣なのは、国語を外国文字で書こうという、近代の気狂いどもだ。
二十歳のエチュード
(新字新仮名)
/
原口統三
(著)
▼ もっと見る
まして我々
下根
(
げこん
)
の
衆生
(
しゆじやう
)
は、
好
(
い
)
い加減な野心に
煽動
(
せんどう
)
されて、
柄
(
がら
)
にもない大作にとりかかつたが
最期
(
さいご
)
、
虻蜂
(
あぶはち
)
とらずの
歎
(
たん
)
を招くは、わかり切つた事かも知れず。
雑筆
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
「とんでもねえ、ここまで連れて来るんだって容易じゃあねえんだ、姐御に連れて行かれちゃあ
虻蜂
(
あぶはち
)
とらずだ」
秘境の日輪旗
(新字新仮名)
/
蘭郁二郎
(著)
三十五日のひどい苦労も、これで
虻蜂
(
あぶはち
)
とらずになる。ただ、
流刑地
(
イズケ
)
の三角洲から百五十里ほど日本に近いところで死ねるということだけが皆の慰めだった。
地底獣国
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
己は藝術家になると云う希望を、全然
抛
(
なげう
)
った訳でもないが、しかし
此
(
こ
)
の
儘
(
まゝ
)
進んで行けば、商人にもなれず詩人にもなれず、
虻蜂
(
あぶはち
)
取
(
と
)
らずで終る事は分り切って居る。
小僧の夢
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
私としてはお宅の損害を
恢復
(
かいふく
)
しさえすれば、それで役目が済むのですから、下手にやって
虻蜂
(
あぶはち
)
とらずに終るよりはと思って、賊の
申出
(
もうしいで
)
を承知して帰った様な次第です。
黒手組
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
それでは何分ともにと言っている
後
(
うしろ
)
に、一突き不意を
喰
(
くら
)
って倒れた悪者の勘太、我と気がついてまだ遠くは
往
(
ゆ
)
くまい、折角見かけた仕事も玉を
逃
(
にが
)
しちゃア
虻蜂
(
あぶはち
)
とらずで汽車賃の出どこがないと
根岸お行の松 因果塚の由来
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
おおそうならば我がすると得たりかしこで引き受けては、上人様にも恥かしく第一源太がせっかく
磨
(
みが
)
いた
侠気
(
おとこ
)
もそこで
廃
(
すた
)
ってしまうし、汝はもとより
虻蜂
(
あぶはち
)
取らず、知恵のないにもほどのあるもの
五重塔
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
また
抜
(
ぬ
)
けだされたら
虻蜂
(
あぶはち
)
とらずじゃ、ええ、あの
半間
(
はんま
)
の
燕作
(
えんさく
)
のやつ、いったいどこへいってしまったのだろう
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「もうすこしの辛抱さ、いいかね、ねえちゃん、うっかり外へ出て見つかろうもんなら、
虻蜂
(
あぶはち
)
とらずだ。お前さんはやっぱり箱の中に入っていなくっちゃあならねえよ」
秘境の日輪旗
(新字新仮名)
/
蘭郁二郎
(著)
「おおそれも聞きました。人に見付かり奪い取られては、
虻蜂
(
あぶはち
)
取らずに成ると云うて、思いも及ばぬ巧みな場所に隠してあるのでございます」——「うむ。そうしてその場所は?」
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
ですが、わっしは
追目
(
おいめ
)
の
賽
(
さい
)
で、この目がポンと出てくれないと、
虻蜂
(
あぶはち
)
とらずの骨折り損、ない身代をつぶしますよ。ひとつ、宅助を哀れと思って、なんとか助けておくんなさいまし。
鳴門秘帖:04 船路の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「つまらねえなあ。
虻蜂
(
あぶはち
)
とらずだ」
大捕物仙人壺
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
虻
漢検準1級
部首:⾍
9画
蜂
常用漢字
中学
部首:⾍
13画
“虻蜂”で始まる語句
虻蜂蜻蛉
虻蜂取