虎狼ころう)” の例文
支那をしてソビエット政府の光栄ある治下に置き、彼等虎狼ころう爪牙そうがから免れしむることは一に新興×××××諸君の奮起力にかかっている。
人間レコード (新字新仮名) / 夢野久作(著)
そして意見がましいことをいうのに、虎狼ころうのような心になっている私は、床の間の置物をつかんで、姉に投げつけようとした。
野狐 (新字新仮名) / 田中英光(著)
お絹が父親の命に代るために、自分から進んで虎狼ころうあぎとへ飛込んだと解ると、一色道庵は危険に対してすっかり盲目になってしまったのです。
淫蕩いんとう度なきを示したもの。第五は偏平の耳の形。虎狼ころうの心を抱いた姿! 汝の人相一切は皆これ大盗の象徴あらわれじゃわい!
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
あの病気にかかってそのまま呼吸いきをひきとってしまったら、彼の競争者は、たちまちえたる虎狼ころうのごとくに飛びかかって、柿丘の地位も財産ものこらずたいらげてしまい
振動魔 (新字新仮名) / 海野十三(著)
おのれやれ是が味方であったら……此処からわめけば、彼処あすこからでもよもや聴付けぬ事はあるまい。なまじいに早まって虎狼ころうのような日傭兵ひやといへいの手に掛ろうより、其方がい。
然れば則ち二人の者の罪、上は天子の明勅に違い、下は幕府の大義をそこない、内は列侯士民の望にそむき、外は虎狼ころう渓壑けいがくの欲をかしむ。極天窮地、俯仰ふぎょう容るるなし。
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
淑母死して七七日のいみも果てざるに、得三は忠実の仮面を脱ぎて、ようやく虎狼ころうの本性をあらわしたり。
活人形 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
十八公麿まつまろの母系と、十八公麿の身について、警戒を怠らないのみか、何か、あわやという機会さえあれば、虎狼ころうの爪が、跳びかかってきそうに思えてならないのである。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「この山は険阻で、かつて人の踏み込んだことのない所だ。上は高くして樵夫きこりなども見えず、下は深うして虎狼ころう怪獣が多い。ここへもし来る者があれば、それは天の導きというものだ」
こちらへ取ってある誓紙は明日あしたさっそく使者にもたせて織田家へかえしてしまいましょう、信長いかに虎狼ころうのいきおいにほこっておってもえちぜんぜいと力をあわせて無二の一戦をいたすならば
盲目物語 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
一時両国の水茶屋で、鉄火者で鳴らしたお篠が、妹のお秋を虎狼ころうあぎとから救い出したさに、ガラッ八の十手のチラチラまで借りようというのは、全く並々ならぬ危険を感じたからのことでしょう。
山崎のとむらい合戦に、武名をあげたものは秀吉ひでよしであったが、北国の柴田しばた、その北条ほうじょう徳川とくがわなども、おのおのこの機をねらって、おのれこそ天下をとらんものと、野心のせきをかため、虎狼ころうやじりをといで
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)