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しき
ふりがな文庫
“
荐
(
しき
)” の例文
女の見た男は非常に疲れていたし又
甚
(
はなはだ
)
しい苛苛した表情で、何か
荐
(
しき
)
りに考え詰めているような鬱陶しい歩みをつづけていたのである。
香爐を盗む
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
と見れば
後
(
あと
)
の
小舎
(
こや
)
の前で、昇が
磬折
(
けいせつ
)
という風に腰を
屈
(
かが
)
めて、其処に
鵠立
(
たたずん
)
でいた洋装紳士の
背
(
せなか
)
に向ッて
荐
(
しき
)
りに礼拝していた。
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
この時、「荒城臨古渡 落日満秋山」の感慨
荐
(
しき
)
りにうごくといへども、あにさばかり意気の銷沈したるものあらんや。
松浦あがた
(新字旧仮名)
/
蒲原有明
(著)
其側に屋根や背後を熊笹で囲った大きな小屋が谷に向けて建ててある。何という好い野営地であろう。三人は荷を卸して四辺を見廻しながら
荐
(
しき
)
りに喜んでいた。
奥秩父の山旅日記
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
湖処子を崇拝する人々にして
荐
(
しき
)
りに彼の純潔を言ふ者あるは好し、然れども余は彼の純潔が情熱の洗礼を受けたるものにあらざるを信ずるが故に、美しき純潔なりと言ふを許さず。
情熱
(新字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
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アフリカで鱷神が高僧に
詑
(
つ
)
く時言語全く平生に異なり
荐
(
しき
)
りに水に入らんと欲し、河底を潜り上って鱷同然泥中に平臥するがごとし(レオナード著『
下
(
ラワー
)
ニゲル
およびその民俗篇
(
エンド・イツ・トライブス
)
』二三一頁)
十二支考:03 田原藤太竜宮入りの話
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
これは無論親父には内証だつたのだが、当座は
荐
(
しき
)
つて帰りたがつた娘が、後には親父の方から帰れ帰れ言つても、帰らんだらう。その内に段々様子が知れたもので、侍
形気
(
かたぎ
)
の親父は非常な立腹だ。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
ト大声を揚げさせての騒動、ドタバタと云う足音も聞えた、オホホホと云う笑声も聞えた、お勢の
荐
(
しき
)
りに「
引掻
(
ひっかい
)
てお
遣
(
や
)
りよ、引掻て」ト
叫喚
(
わめ
)
く声もまた聞えた。
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
私は頭の中で目の前の岩を相手にして、
荐
(
しき
)
りに手懸りや足懸りを探しながら岩登りの稽古をしていた。
黒部川奥の山旅
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
イワーノウナは
何
(
なん
)
だか
嬉
(
うれ
)
しくて
堪
(
たま
)
らなくなつたと
見
(
み
)
えて
一週間前
(
いつしうかんぜん
)
に
大喧嘩
(
おほげんくわ
)
した
事
(
こと
)
ア
忘
(
わす
)
れちまつてア………フ………を
呼
(
よ
)
んで
咖啡
(
こうひい
)
なんぞを
馳走
(
ちそう
)
しながら
荐
(
しき
)
りに
色
(
いろ
)
んな
餘計
(
よけい
)
を
附
(
つ
)
けちやア
亭主
(
ていしゆ
)
の
自慢
(
じまん
)
をする
罪と罰(内田不知庵訳)
(旧字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
十八世紀の始め頃欧州で虚栄に満ちた若い婦女が力なき老衰人に嫁する事
荐
(
しき
)
りなりしを慨し、閹人の種類をことごとく挙げて、陽精
涸渇
(
こかつ
)
した男に嫁するは閹人の妻たるに等しく何の楽しみもなければ
十二支考:08 鶏に関する伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
「
若
(
も
)
しまた無礼を加えたら、モウその時は破れかぶれ」ト思えば
荐
(
しき
)
りに胸が
浪
(
なみ
)
だつ。
暫
(
しば
)
らく
鵠立
(
たたずん
)
でいて、度胸を
据
(
す
)
えて、戦争が初まる前の軍人の如くに思切ッた
顔色
(
がんしょく
)
をして、文三は縁側へ
廻
(
めぐ
)
り出た。
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
荐
漢検1級
部首:⾋
9画