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船尾
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とも
ふりがな文庫
“
船尾
(
とも
)” の例文
「ええと、それから大砲が二門、
船首
(
へさき
)
と
船尾
(
とも
)
とに備えつけてあった。それも尋常な大砲ではない。そうだ、やっぱり南蛮式であった」
名人地獄
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
船尾
(
とも
)
の方にぽつつり一つついてゐる灯火、それを波が揉むやうに動かすと共に、えいしよえいしよといふ船頭達の懸声が闇に響きわたつてきこえた。
島からの帰途
(新字旧仮名)
/
田山花袋
、
田山録弥
(著)
甲板には
舵手
(
だしゅ
)
一人っきりしかいないんだ。それにね、うまいことがあるんだよ。ボートが
船尾
(
とも
)
につなぎっぱなしになっているんだ。オールもちゃんとついている。
新宝島
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
若者はもう水の中へ飛びこんで、肩で
船尾
(
とも
)
の方を押しながら、蘆の發生してゐる中の船小屋の方へ、船を進めて行つた。私はこの小屋へ船の入らないうちに、蘆の根元へ飛び降りた。
霧の旅
(旧字旧仮名)
/
吉江喬松
(著)
……渚に引き上げられた破船の
船尾
(
とも
)
や潮で錆びた赤い
浮標
(
ブイ
)
の上を、たくさんの鴎が淋しそうに飛び廻っています。……鴎にも故郷がない。……海も故郷ではない、
陸
(
おか
)
も故郷ではない。
キャラコさん:05 鴎
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
▼ もっと見る
「うむ、ガラ空きだ。おれは
船首
(
へさき
)
も、
船尾
(
とも
)
の方も、上から下まで探した。大きな声で呼んでみた。けれど
誰
(
だアれ
)
もいやしない。
舵
(
かじ
)
にも、
帆檣
(
ほばしら
)
にも、甲板の何処にも、まるで人がいないんだ」
ラ・ベル・フィユ号の奇妙な航海
(新字新仮名)
/
モーリス・ルヴェル
(著)
幾夜ともなく
船尾
(
とも
)
の
灯
(
ひ
)
に目の疲れるのも気に懸けず。
ランボオ詩集
(新字旧仮名)
/
ジャン・ニコラ・アルチュール・ランボー
(著)
(
船尾
(
とも
)
へよろよろ ヨーイトサ)
えぞおばけ列伝
(新字新仮名)
/
作者不詳
(著)
水脈
(
みお
)
に引かれて水死人らしい男の、丸太のような身体が浮き沈みしながら、
船尾
(
とも
)
から一間ほどの水面を、船の方へ従いて来ていた。
血煙天明陣
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
風が
稍々
(
やや
)
追手
(
おひて
)
になつたので、船頭は帆を低く張つて、濡れた
船尾
(
とも
)
の処で
暢気
(
のんき
)
さうに煙草を吸つて居る。
朝
(新字旧仮名)
/
田山花袋
(著)
船尾
(
とも
)
の方に坐っている。青い頭の小法師である。年はようやく十四、五らしい。可愛い
腰衣
(
こしごろも
)
をつけている。帆をあやつっているのである。
神秘昆虫館
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
兄の方の少年は、
蚊帳
(
かや
)
の中に
入
(
はい
)
つても、容易に眠られなかつた。眼が冴えて仕方がなかつた。かれは船を漕いで居る船頭の
船尾
(
とも
)
の処に行つて、黙つて暗い水を眺めて立つた。
朝
(新字旧仮名)
/
田山花袋
(著)
腕組みをして
船尾
(
とも
)
の方に立って、面白くも何んともありゃアしないと、そういったような顔をしていた、団八が憎さげに罵った。
血煙天明陣
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
船頭はかついで来た艫を舟の中へ横へたが、そのまゝ
船尾
(
とも
)
のところに立つて、水に浮ばせるために頻りに舟を押し立てた。しかし、泥に深く入つてゐる舟は、容易には動かなかつた。
ある日の印旛沼
(新字旧仮名)
/
田山花袋
、
田山録弥
(著)
船尾
(
とも
)
の積み荷の蔭に坐り、ぼんやりあたりを見廻していた、郡上平八の
傍
(
そば
)
まで来ると、ふとその武士は足を止めた。
名人地獄
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
『さうですな。』まだ比較的若い船頭は、
船尾
(
とも
)
のところで徐かに綱を解いてゐたが、仰ぎ見るやうにして、『何しろもうお天道さまがあんなところにゐますからな。暮れますな? 何うしても……』
船路
(新字旧仮名)
/
田山花袋
、
田山録弥
(著)
筏船は
駸々
(
しんしん
)
と走って来る。歌のような帆鳴りの音がする。
泡沫
(
しぶき
)
がパッパッと
船首
(
へさき
)
から立つ。
船尾
(
とも
)
から一筋
水脈
(
みお
)
が引かれ、月に照らされて縞のように見える。
神秘昆虫館
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
船首
(
へさき
)
と
船尾
(
とも
)
とに
船夫
(
かこ
)
がいた。纐纈布の
袍
(
どてら
)
を着た、若い
逞
(
たくま
)
しい船夫であったが、去年の初秋甚太郎を、纐纈城へ
攫
(
さら
)
って行った、その船夫の中の二人であった。
神州纐纈城
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
漣
(
さざなみ
)
一つ立たないらしい。ただ一筋の長い
水脈
(
みお
)
が船の
船尾
(
とも
)
から曳かれていた。夜光虫の光に照らされて、それがひときわ鮮かに光り、
駛
(
はし
)
る白蛇さながらであった。
神州纐纈城
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
私はこれを眺めた
刹那
(
せつな
)
、既に秘密の十分の九まで解決したような気持ちがした。私に何んの
躊躇
(
ちゅうちょ
)
があろう!
独木舟
(
まるきぶね
)
の
船尾
(
とも
)
へ筏を
纜
(
つな
)
ぎそれから屋根へ這い上がった。
沙漠の古都
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
“船尾”の解説
船尾(せんび、en: Stern)は、船の後ろの部分のこと。とも(艫)、スターンともいう。
(出典:Wikipedia)
船
常用漢字
小2
部首:⾈
11画
尾
常用漢字
中学
部首:⼫
7画
“船尾”で始まる語句
船尾張出部
船尾帆
船尾楼
船尾端艇