老叟らうそう)” の例文
老叟らうそうわらつて『さう言はるゝにはなに證據しようこでもあるのかね、貴君あなたものといふれきとした證據しやうこが有るならうけたまはりいものですなア』
石清虚 (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
静坐やゝ久し、無言の妙漸く熟す。暗寂の好味まさに佳境に進まんとする時、破笠弊衣の一老叟らうそうわが前に顕はれぬ。われほ無言なり。彼も唇を結びて物言はず。
松島に於て芭蕉翁を読む (新字旧仮名) / 北村透谷(著)
老叟らうそうしづかに石をでゝ、『我家うちの石がひさし行方ゆきがたしれずに居たが先づ/\此處こゝにあつたので安堵あんどしました、それではいたゞいてかへることにいたしましよう。』
石清虚 (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
すると一日あるひ一人ひとり老叟らうそう何所どこからともなくたづねて來て祕藏ひざうの石を見せてれろといふ、イヤその石は最早もう他人たにんられてしまつてひさしい以前から無いと謝絶ことわつた。
石清虚 (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)