繪馬ゑま)” の例文
新字:絵馬
觀音樣にたどり着いたのは丁度巳刻よつ(十時)頃、二人は繪馬ゑまを眺めたり、はとに餌をやつたり、ざつと半刻ばかり待つて居ると——
『こんなもの、見てゐても仕樣しやうがない。』と、小池は砂だらけの階段を下りて、ひさしの下にかゝげてある繪馬ゑまたぐひを一つ/\見ながら、うしろの方へ𢌞はらうとした。
東光院 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
前達まへたちはあの繪馬ゑまつてますか。うまをかいたちひさながく諸方はう/″\やしろけてあるのをつてますか。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
爾等なんぢら見窄みすぼらしい繪馬ゑまの前に
牧羊神 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
心持ち顏をあかくして、お光はニタ/\笑ひながら、小池のしたやうにして、繪馬ゑまたぐひを見て𢌞はつた。
東光院 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
あのがくなかには『奉納ほうなふ』といふ文字もじと、それをげたひとうまれたとしなぞがいてあるのにがつきましたか。とうさんのおうちうらまつつてあるお稻荷いなりさまのやしろにも、あの繪馬ゑまがいくつもかゝつてました。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
それらの繪馬ゑままじつて、女の長い黒髮の根元から切つたらしいのが、まだ油のつやも拔けずに、うやうやしく白紙はくしに卷かれて折敷をしきに載せられ、折敷のはしに『大願成就だいぐわんじやうじゆとらとしの女』
東光院 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)