いわ)” の例文
驚く二人の眼の前へ、襖をあけて現われたのは、他でもないトン公であったが、頭を白布で巻いているのは、傷をいわえたからであろう。
大捕物仙人壺 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
牛や馬のように、首玉へなわいわえつけておいて、むざむざとほふられるのだ。それはあまりに怖ろしい、あまりに人間性をないがしろにしたものだ。
四十八人目 (新字新仮名) / 森田草平(著)
安東県の宿屋の番頭がどう云う不料簡ふりょうけんか、橋本博士御手荷物のうちと云う札を余の革鞄かばんにぴたぴたいわいつけてしまった。
満韓ところどころ (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
剪刀はさみ一所いっしょになつて入つて居たので、糸巻の動くに連れて、それいわへた小さな鈴が、ちりんとかすかに云ふから、いとけない耳に何かささやかれたかと、弟は丸々まるまるツこいほお微笑ほほえんで、うなずいてならした。
蠅を憎む記 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
かわいいくつしたいわくなら
まざあ・ぐうす (新字新仮名) / 作者不詳(著)
そうして油揚あぶらげの胴を干瓢かんぴょういわえた稲荷鮨いなりずし恰好かっこうに似たものを、上から下へ落した。彼は勾欄てすりにつらまって何度も下をのぞいて見た。しかし誰もそれを取ってくれるものはなかった。
道草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
「そのまま、その上からおいわえなさいな。」
縷紅新草 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)