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簀戸
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すど
ふりがな文庫
“
簀戸
(
すど
)” の例文
簀戸
(
すど
)
のかなたに、冴々と青空が、広がっている。新しい生活の最初の馴れない疲労が、ズキズキと背中や後頭部にうずいていた。
貞操問答
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
娘は気がついたように間の
簀戸
(
すど
)
を閉めたが、簀戸越しに見える寝姿の方が、むしろ、なまめいて庄次郎は気になった。
松のや露八
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
水色の蚊帳ばかりではない、
暁闇
(
ぎょうあん
)
ばかりではない。連日の雨に暮れて、雨に明ける日の、空が暗いのだ。それが、
簀戸
(
すど
)
を透して、よけいに、ものの
隈
(
くま
)
が濃い。
紫式部:――忙しき目覚めに
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
大家
(
おおや
)
で
飼
(
か
)
っておいたくさひばりが夕暮れになるといつもいい声を立てて鳴いた。
床柱
(
とこばしら
)
の
薔薇
(
ばら
)
の一
輪揷
(
りんざ
)
し、それよりも
簀戸
(
すど
)
をすかして見える朝顔の花が
友禅染
(
ゆうぜんぞ
)
めのように美しかった。
田舎教師
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
簀戸
(
すど
)
へもたれて大
胡坐
(
あぐら
)
の藤吉、下帯一本の膝っ小僧をきちんと揃えた勘弁勘次が、肩高だかと聳やかして親分大事と背後から煽ぐ。早くも一とおり語り終った彦兵衛、珍しく伝法な調子で
釘抜藤吉捕物覚書:06 巷説蒲鉾供養
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
▼ もっと見る
お母さんは
上
(
あが
)
り
框
(
がまち
)
の
簀戸
(
すど
)
をあけて話しながら敷居のそばにすわり、どうも長いことお世話でござんした、と手をついた。みんなお母さんの方を見ているのに健だけは横顔を見せてうつむいている。
大根の葉
(新字新仮名)
/
壺井栄
(著)
それは、
朱墨
(
しゅずみ
)
を
卸
(
お
)
ろす
丸硯
(
まるすずり
)
だった。萩の
簀戸
(
すど
)
を突き破った硯は、
箪笥
(
たんす
)
にぶつかって、彼女の坐っている側に
躍
(
おど
)
った。
夕顔の門
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
簀戸
(
すど
)
の腰板に、
観世水
(
かんぜみず
)
が
透
(
す
)
かし
彫
(
ぼ
)
りになっていた。
藍
(
あい
)
と白の
浴衣
(
ゆかた
)
に、
紅
(
あか
)
い帯揚げが、ちらりと、そこに動いた。
松のや露八
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
不意に
嫋美
(
たおや
)
かな笑いこぼれ。新九郎はハッとして振り顧ると、
簀戸
(
すど
)
の向うに
透
(
す
)
いてみえた姿は、たびたび枕元へ来て、優しい言葉をかけられた寮の
主
(
あるじ
)
の御方である。
剣難女難
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
店頭
(
みせさき
)
は、広土間で、旅帰りを出迎えている人々や、
板新道
(
いたじんみち
)
の
芸妓
(
おんな
)
と、八丁堀の与力が、公然と出会いをしているのや、
駕
(
かご
)
かきや、馬の尻が、中仕切の
簀戸
(
すど
)
から透いてみえる。
松のや露八
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
城主の助右衛門は、また、城門の揚げ
簀戸
(
すど
)
を開けさせて、あとの避難民を残りなく収容した。
新書太閤記:11 第十一分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
町家の隠居所でもありそうな
清洒
(
せいしゃ
)
な門を開けて、訪れると、奥で聞えていた陽気な女達の声がやんで、
簀戸
(
すど
)
の蔭から四十前後の
薄化粧
(
うすげしょう
)
した妻女が、何気なく出て来たらしいが
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
辷ってきた影は、しばらく、
簀戸
(
すど
)
の外にたたずんで、中の気配をうかがっていた。
剣難女難
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
侍女
(
こしもと
)
である。新九郎の寝ているのを見て静かに蚊帳を払い、
簀戸
(
すど
)
を開け払って思うさまは風を入れて立ち去った。で、彼の枕元に近い所を、人なき白帆がゆるゆるとさかのぼって行くのも見えてきた。
剣難女難
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
簀
漢検1級
部首:⽵
17画
戸
常用漢字
小2
部首:⼾
4画
“簀”で始まる語句
簀
簀子
簀巻
簀垂
簀框
簀蓋
簀垣
簀捲
簀掻藁
簀子縁