ノット)” の例文
佐渡夷さどえびす着、午後四時四十五分の予定。速力、十五ノット。何しに佐渡へなど行く気になったのだろう。十一月十七日。ほそい雨が降っている。
佐渡 (新字新仮名) / 太宰治(著)
貴女が専門家ならすぐに気が付くでしょう。この船がタッタ今出しかけている速力に……二十一ノット一パイに出しかけているところですからね。
焦点を合せる (新字新仮名) / 夢野久作(著)
基準排水量わずかに七百五十トンびょうたる一駆逐艦の身でありながら科学独逸の粋を集めていかなる秘密装備を施したものか、経済速力二十七ノット
ウニデス潮流の彼方 (新字新仮名) / 橘外男(著)
……あなたは、釧路丸の最高速度を、十二ノットと再三云われましたね……問題は、それなんですよ。ま、考えて見て下さい。
動かぬ鯨群 (新字新仮名) / 大阪圭吉(著)
その間も、十三ノットか十四節で、たいてい海面を進んで行った。事実水中に潜ったことは、数えるほどしかなかった。
潜航艇「鷹の城」 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
心臓部の機関が、軽快な響きを立てて回転し、太い煙突からは、海洋を圧するような黒煙が吐き出され、十五ノットの速度で、西に針路を執って航行しはじめた。僕は、得意満面である。
怪奇人造島 (新字新仮名) / 寺島柾史(著)
「全速力三十六ノット!」
空襲葬送曲 (新字新仮名) / 海野十三(著)
「ムフムフ。変ったにしたところが、一時間十八ノットの船を押し流すような海流が、地球表面上に発生しる理由はないてや」
難船小僧 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
隼丸の前檣マストに「停船命令」の信号旗が、スルスルと上った。時速十六ノットの隼丸だ。——捕鯨船は、戦わずして敗れた。
動かぬ鯨群 (新字新仮名) / 大阪圭吉(著)
戦闘速力まさに三十九ノットという当時にありては世界記録に未だなき驚異的なる快速力を利用して、これに強力なる短波を備え付け東経百五十度南緯四十五度より五十五度の線にかけ
ウニデス潮流の彼方 (新字新仮名) / 橘外男(著)
速力は十四、五ノットはあろう。北洋の三角波を、痛快に破って快走をつづけた。みると、置去りを食った海賊たちは、端艇のうえで、手を挙げ、足を踏み鳴らして去り往く本船に追いすがってくる。
怪奇人造島 (新字新仮名) / 寺島柾史(著)
十二ノット以上の発動機船を準備してもらった奴に、武装警官を乗組ませて、ドン船と見たら容赦なく銃口を向けさせる。
爆弾太平記 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
「昨晩お訊ねしたあの釧路丸の最高速度ですね。あれは、確かに十二ノットですね?」
動かぬ鯨群 (新字新仮名) / 大阪圭吉(著)
艦は今や汽缶を全開して、三十九ノット全速力フルスピードをもって一意敵の視界外へ逃れずべく艦体をきしませて浪を蹴立てていた。風圧に耳がグ※ンとして、もはや立ってもいられぬくらいの動揺を続けている。
ウニデス潮流の彼方 (新字新仮名) / 橘外男(著)
実をいうと三洋丸ぐらいの機械を持っていれあ、速力を五ノット増すくらいの事は河童かっぱなんだ。新しい機械の力はかなり内輪に見積ってあるもんだからね。
焦点を合せる (新字新仮名) / 夢野久作(著)
ガチャリと電話が切れたと思うと、やがて船腹ふなばら震撼しんかんする波濤なみ轟音おとが急に高まって来た。タッタ二ノットの違いでも波が倍以上大きくなったような気がする。
難船小僧 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
つまりエムデンの死に物狂いのスピードが、先ず二十七八ノットで、三洋丸のギリギリ決着が二十三四ノットだから、見付かったら最後、物が云えないという算盤そろばんを取ったんだろう。
焦点を合せる (新字新仮名) / 夢野久作(著)
「イヤ。波に押し戻されているんです。十八ノット速力スピードがこの波じゃチットモ利かないんです」
難船小僧 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
速力十六ノットという優秀な密漁船の追跡用だったが、まだ乗組員も何もまっていなかった。
爆弾太平記 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
毛唐が真似して作っても乗る奴が一匹も居る気遣いがないし、防禦ぼうぎょの方法が全く無いんだからね。時速百二十ノット、航続距離二万海里かいりと云ったら大抵わかるだろう。その動力が問題なんだからね。
超人鬚野博士 (新字新仮名) / 夢野久作(著)