立掛たてか)” の例文
御存じとは思いますが、川越喜多院かわごえきたいんには、擂粉木すりこぎ立掛たてかけて置かないと云う仕来しきたりがあります。縦にして置くと変事がある。
甲乙 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
棺はおけを用いず、大抵たいてい箱形はこがたなり。さて棺のまわりに糠粃ぬかを盛りたる俵六つ或は八つをたて立掛たてかけ、火を焚付たきつく。俵の数はしかばねの大小によりことなるなり。
みちの記 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
五六歩行くと、彼はつまずいた。見ると、足許あしもとに木乃伊がころがっている。彼は、またほとんど何の考えもなしにその木乃伊を抱起だきおこして、神像の台に立掛たてかけた。
木乃伊 (新字新仮名) / 中島敦(著)
古襖がたてつけの悪いままで、その絵の寒山拾得かんざんじっとくが、私たちをゆびさして囁き合っているていで、おまけに、手から抜出ぬけだした同然に箒が一本立掛たてかけてあります。
甲乙 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
店前みせさき縁側えんがはかべ立掛たてかけてあつたやつを、元二げんじ自分じぶん据直すゑなほして、こしける。
二た面 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
と、足をいで、かごわき立掛たてかけた。
印度更紗 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
と、あしいで、かごわき立掛たてかけた。
印度更紗 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)