空車から)” の例文
下坂くだりざかは、うごきれると、一めい車夫しやふ空車からいて、ぐに引返ひつかへことになり、梶棒かぢぼうつてたのが、旅鞄たびかばん一個ひとつ背負しよつて、これ路案内みちあんないたうげまでともをすることになつた。
雪の翼 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
お客様を乗せやうが空車からの時だらうが嫌やとなると用捨なく嫌やに成まする、あきれはてる我まま男、愛想あいそが尽きるでは有りませぬか、さ、お乗りなされ、お供をしますと進められて
十三夜 (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
客樣きやくさませやうが空車からときだらうがやとなると用捨ようしやなくやになりまする、あきれはてるわがまゝをとこ愛想あいそきるではりませぬか、さ、おりなされ、おともをしますとすゝめられて
十三夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
考へれば何も彼も悉皆しつかい厭やで、お客樣を乘せやうが空車からの時だらうが嫌やとなると用捨なく嫌やに成まする、呆れはてる我まゝ男、愛想が盡きるでは有りませぬか、さ、お乘りなされ
十三夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)