禄高ろくだか)” の例文
旧字:祿高
「野郎なぞとおっしゃっちゃあいすまぬほどのおかたでごぜえます。禄高ろくだかはたしか五百石取り、三品流みしなりゅうの達人とかききましたよ」
そこで大石内蔵助良雄から同苗どうみょう主税良金、原総右衛門元辰、吉田忠左衛門兼亮かねすけというように、禄高ろくだかによって、順々に血判をすることになった。
四十八人目 (新字新仮名) / 森田草平(著)
多年山村氏の配下にあった家中衆も、すべておいとまを告げることになり、追って禄高ろくだか等の御沙汰ごさたのある日を待てと言われるような時がやって来た。
夜明け前:03 第二部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
禄高ろくだかや待遇のおむくいを申したてて、利をもって誘うなどは、あなたの御出廬ごしゅつろうながす道でないと信じますゆえ、左様な条件がましき儀は一切申しません。
新書太閤記:03 第三分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ことに細貝家はお禄高ろくだかに比べて格式が高いから、ほかの家よりもはるかに出費がかさむ。
やぶからし (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
ことにそのなかに、面白き思附き、興ある見物みものとして大名行列があった。それは旧大名の禄高ろくだか多く、格式ある家柄の参覲交代さんきんこうたいの道中行列にならい、奥向の行列もつくったのであった。
一世お鯉 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
「いや、唯確めてさえ置けば私も安心して口が利けます。禄高ろくだかは何石でしたか?」
脱線息子 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
父親の百之丞ひゃくのじょうが松前の家老として忠勤をはげんだおかげで、親の歿後ぼつごも、その禄高ろくだかをそっくりいただき何の働きも無いくせに重役のひとりに加えられ、育ちのよいのを鼻にかけて同輩をさげすみ
新釈諸国噺 (新字新仮名) / 太宰治(著)
禄高ろくだかは十五俵より十九俵までを十五俵に、二十俵より二十九俵までを二十俵に、三十俵より四十九俵までを三十俵に、五十俵より六十九俵までを四十俵に、七十俵より九十九俵までを六十俵に
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
禄高ろくだか四百石、当時小普請こぶしん入りのお旗下饗庭亮三郎が住まいである。
つづれ烏羽玉 (新字新仮名) / 林不忘(著)
つぎに、各家の禄高ろくだかをしるしてみよう。
それから、加賀百万石を禄高ろくだかがしらの三百諸侯、つづいて美姫びき千名と注された、いずれ劣らぬ美形たちのお局、腰元、お女中の一群でありました。
いや、彼は、位負くらいまけしないのだ。一躍禄高ろくだかが上がっても、きのうの彼と変らないし、御小人おこびとからさむらいになり、また忽ち一城のうえに坐っても、あのとおりだ。
新書太閤記:04 第四分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「ついでに、六十一万九千五百石(幕府時代に封ぜられた尾州家の禄高ろくだかをさす)を半分にでも削るか。」
夜明け前:03 第二部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
「御役目とお禄高ろくだかもどうぞ」
風流太平記 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
それも禄高ろくだかにして五百石以下、家格にしてお目見得以上のお旗本が罪人となった場合、この上がり座敷へ投獄するので、第二は揚がり屋と称され、お目見得以下の者
賛五郎の実兄の平田文吾ぶんごは、現在でも熊本の国もとで細川家の弓道師範をしており、禄高ろくだか四百石、日置流へきりゅうの弓では九州でもならぶ者のない人だが、賛五郎はその兄をもしのぐ上手だといわれていた程だった。
死んだ千鳥 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
朝散太夫ちょうさんだゆうと位階格式禄高ろくだかの順もなく、入れ替わり立ち替わり陸続としてひっきりなしにお参りするのですから、その騒々しさ混雑というものは、じつに名状しがたいくらいでした。
といっているが、問題は禄高ろくだかではない。
宮本武蔵:07 二天の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
この大将、身なりはいっこう気のきかねえいなか侍みてえだが、五両ものこづけえを、にこりともしねえで懐中しているところを見るてえと、案外禄高ろくだかのたけえやつかも知れませんぜ。
名まえは小田切久之進おだぎりきゅうのしんっていうもう五十を過ぎたお旗本だそうながね、お禄高ろくだかは三百石だというんだから、旗本にしちゃご小身でしょうが、とにかくそのお旗本のだんなが、眠っている夜中に
「ほう。では、遊女らも禄高ろくだかがあるとみえるな」
「お禄高ろくだかは?」