カミ)” の例文
理想の境涯、偶像となつた生活は、人よりも神に、神に近い「アキカミ」と言ふ譬喩表現が、次第に、事実其ものとして感ぜられて来る。
万葉びとの生活 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
「ミ」に対してあまねく「美」および「微」の字を用いた中に「カミ」の「み」にはいつも「微」を用いて「美」を用いないということに気がつきながら
古代国語の音韻に就いて (新字新仮名) / 橋本進吉(著)
ルヤ、キミ断食ダンジキクルシキトキニハ、カノ偽善者ギゼンシャゴトカナシキ面容オモモチヲスナ。コレ、カミゲン
創生記 (新字新仮名) / 太宰治(著)
即、穴師兵主ヒヤウズカミなる水神に関する物語として、抱き守りの巫女と、幼君を主としたものに飜訳せられ、一つの「ひな神」信仰の形を採る事になつた。
唱導文芸序説 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
カミ」の「ミ」と「カミ」の「ミ」とを同じ仮名と考えて、かような語源説を立てられたものと思われます。
古代国語の音韻に就いて (新字新仮名) / 橋本進吉(著)
靈液クシカミ常世トコヨ少彦名スクナヒコナとする處から見ても、まれびとによつて酒ほかひが行はれると見たことが知れる。
例えば「カミ」という語は「上」という意味の「かみ」から出たものであるという説があります。
古代国語の音韻に就いて (新字新仮名) / 橋本進吉(著)
結局、玉留産霊タマツメムスビカミの語原は、神づまるとおなじであると思ふ。つまるは、集中する意味だとおもふ。
古代人の思考の基礎 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
イ段の仮名にあたる音がウ段にあたる音に(カミカムながら、身実ムザネツキ月夜ツクヨ
国語音韻の変遷 (新字新仮名) / 橋本進吉(著)
だから常世トコヨ思金オモヒカネカミといふ名も、呪言の神が常世から来るとした信仰の痕跡だと言へよう。田植ゑ時に考・妣二体或は群行グンギヤウの神が海から来た話は、播磨風土記に多く見えて居る。
ひとのとも、刀禰トネなどのとで、神の配下の家の意であらうか。カミの属隷の義だらう。カミのみ・ツミ(つは領格の語尾)のみなど、皆精霊の義であらうか。女性の神称に多いなみのみも同様である。
若水の話 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)