神農しんのう)” の例文
二間の床の間に探幽の神農しんのう様と、松と竹の三幅対さんぷくつい。その前に新郎の当主甘川澄夫と、新婦の初枝。その右の下手に新郎の親代りの村長夫婦。
笑う唖女 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
一見すると支那の神農しんのう、しかし仔細に見る時は、紛れもない日本人、それも穢い老乞食、だが全幅に漲る気品は、奕々えきえきとして神のようである。
任侠二刀流 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
「二三年前までは、唯の藥種屋だつたのが、或夜神農しんのう樣とやらが夢枕に立つて、不老不死の祕法を教へたとある」
逐轉ちくてんして此大江戸へ出てより所々しよ/\方々はう/″\小稼こかせぎは言はずと知れし小盜人こぬすびとぬすみし金や神農しんのう嘗殘なめのこしたる質種しちぐさ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
美しい髪飾のいろいろ並べてあるのを、客は代る代る取出させて見たりしています。そうした様子を、右手の横から、神農しんのうの薬草を持った招牌かんばんが見詰めているようです。
鴎外の思い出 (新字新仮名) / 小金井喜美子(著)
(三六)ばうもつばうへ、なるをらず。神農しんのう(舜 )・(禹 )(三七)忽焉こつえんとしてぼつしぬ、(三八)われいづくにか適歸てききせん。吁嗟ああ(三九)かん。(四〇)めいおとろへたるかな
また別な説には、一日に百そうめつつ人間に食物を教えた神農しんのうはたびたび毒草にあたったが、茶を得てからこれを噛むとたちまち毒をけしたので、以来、秘愛せられたとも伝えられている。
三国志:02 桃園の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
その神様の種類からいえば、先ず店の間の天照皇太神宮てんしょうこうたいじんぐうを初めとし、不動明王ふどうみょうおう戸隠とがくし神社、天満宮てんまんぐうえびす大黒だいこく金比羅こんぴら三宝荒神さんぼうこうじん神農しんのう様、弁財天、布袋ほてい、稲荷様等、八百万やおよろずの神々たちが存在された。