破廉耻はれんち)” の例文
「そりゃあの時には厭な感じも起ッたけれども、く交際して見ればそんなに貴君のお言いなさるように破廉耻はれんちの人じゃ有りませんワ」
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
譃をつくことを何とも思わない破廉耻はれんちな人間のようなところが見えて、もうどうしても信用する気になれなかった。
細雪:02 中巻 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
一生いつしやう箱入はこいりらしくらさせんとにや、さすれば此歌このうた無心むしんきたるものにて半文はんもん價値ねうちもあらず、いなこの優美いうびふでのあとはなんとしても破廉耻はれんちひとにはあらじ
暁月夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
むしろ教会の愚劣と偽善を表白したに過ぎないのだが、驚いたのは鍛工かぢこう組合の挙動だ——先生が梅子さんと結婚なさる為めに、主義を抛棄はうきなさるとは、何と云ふ破廉耻はれんちな言ひ草だ
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
偶然ぐうぜんおこつたかれ破廉耻はれんち行爲かうゐにはか村落むら耳目じもく聳動しようどうしても、にもかくにも一處理しよりしてかねばならぬすべてのものは、彼等かれら共通きようつうきたがりりたがる性情せいじやうられつゝも
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
これ実に真人間にあらざる人のことばなり。二人はこの破廉耻はれんち老面皮ろうめんぴを憎しと思へり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
設けて逃るような破廉耻はれんち的の人間と舌戦は無益と認める。からしてモウ僕は何にも言うまいが、シカシ最初の『プロポーザル』(申出)より一歩も引く事は出来んから、モウ降りてくれ給え
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
かくの如き人の児と生まれ、此の如き人のをひと言はれることを耻づかしくて堪まらないのです、しかるに姉さん、世間の奴等は何と云ふ破廉耻はれんちでせう、学校の校長でも教員でも、山木剛造の児であり
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)