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石磈
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いしころ
「へい、お
待ちなさいまし、
石磈で
齒が
軋みますで。」と
蹲つて、ぐい、と
楫を
壓へる。
利かぬ気の
親仁じゃ、お前様、月夜の遠見に、
纏ったものの形は、
葦簀張の柱の根を
圧えて置きます、お前様の
背後の、その
石磈か、
私が立掛けて置いて帰ります、この
床几の影ばかり。
ト
唾で破いて、その穴から舌を出したり、路地の木戸を
石磈でこつこつやったり、柱を釘で
疵をつけたり、
階子を担いで駆出すやら、
地蹈鞴を
蹈んで唱歌を唄うやら、物真似は
真先に覚えて来る
『はツ、』と
云ふと
一個、
丁ど
石高道の
石磈へ
其の
一本竹を
踏掛けた
真中のが、カタリと
脚に
音を
立てると、
乗上つたやうに、ひよい、と
背が
高く
成つて、
直に、ひよこりと
又同じ
丈に
歩行き
出す。
友造の
影は
石磈の
上に
搖いで