ざかり)” の例文
若いものではございませず、分別ざかりを通り越していながら、と恐縮をいたしましてな、それも、御門内なら、まだしも。
式部小路 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
隣村の伊太郎と云う血気ざかり壮佼わかいしゅが、某夜あるよ酒をひっかけて怪物の探検に来たが、その途中どこからともなくこいしが飛んで来て、眉間に当って負傷したので蒼くなって逃げ帰った。
唖の妖女 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
大騒ぎになりますと、此の事を小増が聞き、生意気ざかりの小増、止せばいのに胴抜どうぬきなり自惰落じだらくな姿をして、二十両の目録包を持って廊下をばた/\って来て、障子を開けて這入って来ました。
敵討札所の霊験 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
なだ銘酒めいしゆ白鶴はくつるを、白鶴はくかくみ、いろざかりをいろもりむ。娘盛むすめざかり娘盛むすめもりだと、おじやうさんのおしやくにきこえる。
寸情風土記 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
入道の名にうたわれ、かつは、硯友社の彦左衛門、と自から任じ、人も許して、夜討朝駆に寸分の油断のない、血気ざかりの早具足なのが、昼寝時の不意討に、蠅叩はえたたきもとりあえず
薄紅梅 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
東京はからッ風で塵埃ほこりひどいから、眼を悪くせまいための砂除すなよけだっていうの、勉強ざかりなら洋燈ランプをカッカと、ともして寝ない人さえあるんだのに、そう身体からだばかりかばってちゃあ
化銀杏 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
貴郎あなたには小児でも、もうお嫁入ざかりじゃありませんか。どうかすると、こっちへもいらっしゃる、学校出の方にゃ、酒井さんの天女エンゼルが、何のと云っちゃ、あの、騒いでおいでなさるのがありますわ。」
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)