白珊瑚しろさんご)” の例文
と栞は、素直に答えて、衣裳の赤い裾裏と、草履の赤緒との間に、白珊瑚しろさんごのように挾まっている可愛らしい素足を運ばせ、塚を下りた。
血曼陀羅紙帳武士 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
鼎に似ると、るもくも、いずれ繊楚かよわい人のために見る目も忍びないであろう処を、あたかもよし、玉を捧ぐる白珊瑚しろさんごなめらかなる枝に見えた。
縷紅新草 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
三日月みかづきあわひかりあお波紋はもんおおきくげて、白珊瑚しろさんごおもわせるはだに、くようにえてゆくなめらかさが、秋草あきぐさうえにまでさかったその刹那せつな、ふと立上たちあがったおせんは
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
公子、真中まんなかに、すっくと立ち、静かにつるぎを納めて、右手めてなる白珊瑚しろさんごの椅子にる。騎士五人廻廊まで登場。
海神別荘 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
折しも風立って来たからさっなびき、颯と靡き、颯と靡く反対の方へ漕いで漕いで進んだが、白珊瑚しろさんごの枝に似た貝殻だらけの海苔粗朶のりそだうずたかく棄ててあるのに、根を隠して、薄らあおい一基の石碑が
葛飾砂子 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)