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痩馬
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やせうま
ふりがな文庫
“
痩馬
(
やせうま
)” の例文
御者は
先刻
(
さっき
)
から時間の遅くなるのを恐れるごとく、
止
(
よ
)
せばいいと思うのに、
濫
(
みだ
)
りなる
鞭
(
むち
)
を鳴らして、しきりに
痩馬
(
やせうま
)
の
尻
(
しり
)
を打った。
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
遠路
(
とおみち
)
を
痩馬
(
やせうま
)
に
曳
(
ひ
)
かした荷車が
二輛
(
にりょう
)
も三輛も引続いて
或時
(
あるとき
)
は米俵或時は材木
煉瓦
(
れんが
)
なぞ、重い荷物を坂道の頂きなる監獄署の裏門
内
(
うち
)
へと運び入れる。
監獄署の裏
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
その内哀れな
痩馬
(
やせうま
)
は、とうとう力尽きて、ペシャンコに畳の上にへたばってしまった。……………………、………………。
猟奇の果
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
していいころだ!……さようなら、ソーニャ、お前も苦労したねえ!……みんなで
痩馬
(
やせうま
)
を乗りつぶしたんだ!……もう精も根も尽きはーてーたー
罪と罰
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
いわゆる
痩馬
(
やせうま
)
の名は広く知られ、これをこしらえる日がまちまちであることから、私などはそう想像している。
年中行事覚書
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
▼ もっと見る
快活の気はわき立ち、
譏刺
(
きし
)
は燃え上がり、陽気さは
緋衣
(
ひい
)
のようにひろがっている。二匹の
痩馬
(
やせうま
)
は、花を開いてる滑稽を神に祭り上げて引いてゆく。それは
哄笑
(
こうしょう
)
の
凱旋車
(
がいせんしゃ
)
である。
レ・ミゼラブル:08 第五部 ジャン・ヴァルジャン
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
脊の低い
痩馬
(
やせうま
)
の脊の左右に、底の深い
畚
(
もつこ
)
をになはせ、そのなかに青物——茄子、白瓜、西瓜、カイベツ、玉葱、枝豆、西洋かぼちや、林檎、唐もろこし、など——を入れてある。
泡鳴五部作:03 放浪
(旧字旧仮名)
/
岩野泡鳴
(著)
伝平は、
老耄
(
おいぼれ
)
の
痩馬
(
やせうま
)
を、前の柿の木に
繋
(
つな
)
いで置いて、すぐ馬小屋をつくりにかかった。
馬
(新字新仮名)
/
佐左木俊郎
(著)
門内の広間に、疲れきった二頭の
痩馬
(
やせうま
)
をいたわりながら、四人の兄弟は
佇
(
たたず
)
んでいた。
源頼朝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
が、悪い事にはこの吉蔵が
博徒
(
ばくと
)
の親分で、昔「
痩馬
(
やせうま
)
の
吉
(
きち
)
」と名乗って売り出してから、今では「今戸の親分」で通る広い顔になっている。しかもお由はその吉蔵親分の恋女房であった。
白蛇の死
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
長い影を地にひいて、
痩馬
(
やせうま
)
の
手綱
(
たづな
)
を取りながら、
彼
(
か
)
れは黙りこくって歩いた。
カインの末裔
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
痩馬
(
やせうま
)
に乗せられ刑場へ曳かれて行く死刑囚が、それでも自分のおちぶれを見せまいと、いかにも気楽そうに馬上で低吟する小唄の謂いであって、ばかばかしい負け惜しみを
嘲
(
あざわら
)
う言葉のようであるが
もの思う葦:――当りまえのことを当りまえに語る。
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
我
(
わ
)
れは
痩馬
(
やせうま
)
、
黙黙
(
もくもく
)
と
晶子詩篇全集
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
七日の
粥
(
かゆ
)
の日には村の内の子供たちが、祝言を述べて物をもらいにくる風があった。
痩馬
(
やせうま
)
と名づけて松の葉に少しの穴銭を貫き、この馬痩せて候と言って与えたとある。
雪国の春
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
馭者
(
ぎょしゃ
)
は台の上にのっていましたが、酒にでも酔っているらしく、妙な声ではな唄をうたっていました。車をひっぱる
痩馬
(
やせうま
)
は、この酔払い馭者に迷惑そうに、とぼとぼとついていきます。
怪塔王
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
朝門を辞して帰る折、曹操はまた、彼がみすぼらしい
痩馬
(
やせうま
)
を用いているのを見て
三国志:05 臣道の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
四三
痩馬
(
やせうま
)
の日
年中行事覚書
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
痩
常用漢字
中学
部首:⽧
12画
馬
常用漢字
小2
部首:⾺
10画
“痩馬”で始まる語句
痩馬喰