現身うつそみ)” の例文
眼をつぶると、彼女の面影がまるで現身うつそみのようにまざまざと見え、しかも以前より美しく、若やいで、あでやかさを加えたような気がした。
香具山かぐやま畝傍うねびしと、耳成みみなしと相争ひき、神代より斯くなるらし、いにしへしかなれこそ、現身うつそみも妻を、争ふらしき」
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
「……大鳥おおとりがひの山に、わが恋ふるいもはいますと人のいへば、岩根いわねさくみてなづみ来し、よけくもぞなき。現身うつそみとおもひしいもが、玉かぎるほのかにだにも見えぬ、思へば。」
大和路・信濃路 (新字新仮名) / 堀辰雄(著)
現身うつそみの子ども喧嘩をしてゐたり一人たれて泣けばかなしも
雲母集 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
何事もみな昔とはおもへども現身うつそみわれし泣かざらめやも
坪内先生を憶ふ (旧字旧仮名) / 相馬御風(著)
ただ現身うつそみだけを朝音ちょうおん暮音ぼおんの松かぜにおいて
私本太平記:06 八荒帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
現身うつそみの世をゆるしえず、はたのろひえぬ觀念くわんねん
海潮音 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
現身うつそみたまはめ。
白羊宮 (旧字旧仮名) / 薄田泣菫薄田淳介(著)
現身うつそみひとなるわれ明日あすよりは二上山ふたかみやま弟背いろせむ 〔巻二・一六五〕 大来皇女
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
ただ飛びね踊れ踊子現身うつそみくつのつまさき春暮れむとす
桐の花 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
現身うつそみの世をゆるしえず、はたのろひえぬ観念の
海潮音 (新字旧仮名) / 上田敏(著)
現身うつそみの世も見たまはめ。
泣菫詩抄 (旧字旧仮名) / 薄田泣菫(著)
現身うつそみの「大畏怖だいゐふ」立てり。しかすがに
海潮音 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
かつ現身うつそみ悲哀かなしみ
緑の種子 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
現身うつそみの「大畏怖だいいふ」立てり。しかすがに
海潮音 (新字旧仮名) / 上田敏(著)