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牙彫
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げぼり
ふりがな文庫
“
牙彫
(
げぼり
)” の例文
「もう一つ、三日前に八五郎が、この脇差と
牙彫
(
げぼり
)
の根付を一つ、十両で吉三郎に売ったそうだ。少しわけがあって、それを返して貰いたいんだが」
銭形平次捕物控:083 鉄砲汁
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
そのとき、彼のこころに、ふッと、浮んだのが、浅草田圃に、
牙彫
(
げぼり
)
師らしく隠れ棲んでいる、あの闇太郎のことだった。
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
骨組みのたくましい、筋肉が一つびとつ肌の上から数えられるほど、脂肪の少い人で、
牙彫
(
げぼり
)
の人形のような顔に
笑
(
え
)
みを
湛
(
たた
)
えて、手に
数珠
(
ずず
)
を持っている。
山椒大夫
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
駄肉があるということは、まだこなせるということだ、
牙彫
(
げぼり
)
から木彫に入った人の作には駄肉があって、それがいけないということをよく言っていた。
回想録
(新字新仮名)
/
高村光太郎
(著)
薄暗き
硝子
(
ガラス
)
戸棚の中。絵画、陶器、
唐皮
(
からかは
)
、
更緲
(
さらさ
)
、
牙彫
(
げぼり
)
、
鋳金
(
ちうきん
)
等
(
とう
)
種々の異国関係史料、処狭きまでに置き並べたるを見る。
初夏
(
しよか
)
の午後。遙にちやるめらの音聞ゆ。
長崎小品
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
▼ もっと見る
牙彫
(
げぼり
)
のやうな円くつめたい腕を高々とさし伸べ、しなやかな指につまみ上げた金と銀との盃に、日光の芳醇なしたたりを波々と掬ひ取らうとするこの花の姿には
独楽園
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
一人、骨組の
厳丈
(
がっちり
)
した、赤ら顔で、
疎髯
(
まだらひげ
)
のあるのは、
張肱
(
はりひじ
)
に竹の
如意
(
にょい
)
を
提
(
ひっさ
)
げ、一人、目の窪んだ、鼻の低い
頤
(
あご
)
の
尖
(
とが
)
ったのが、紐に通して、
牙彫
(
げぼり
)
の
白髑髏
(
しゃれこうべ
)
を胸から
斜
(
ななめ
)
に取って、腰に附けた。
薄紅梅
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
木彫
(
きぼり
)
か、
牙彫
(
げぼり
)
か、何だろうと、ちょっとその材料の点にまで頭を使って見たようですが、なお決して、伊太夫は、それに近づいてコツコツと叩いてみるような無作法には及びませんでした。
大菩薩峠:37 恐山の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
父と時々往来していた
牙彫
(
げぼり
)
の旭玉山さんのところの無尽講にも、誰かに頼まれて行って当てたことを覚えている。
回想録
(新字新仮名)
/
高村光太郎
(著)
僕の乗った舟を漕いでいる四十
恰好
(
がっこう
)
の船頭は、
手垢
(
てあか
)
によごれた
根附
(
ねつけ
)
の
牙彫
(
げぼり
)
のような顔に、極めて
真面目
(
まじめ
)
な表情を見せて、器械的に手足を動かして
艣
(
ろ
)
を
操
(
あやつ
)
っている。
百物語
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
牙彫
(
げぼり
)
の
基督
(
キリスト
)
、(紫壇の十字架上に腕をひろげつつ)
無分別
(
むふんべつ
)
な事をしてはいけない。ふだん云つて聞かせる通り、自殺などをしたものは
波群葦増
(
はらゐそ
)
の門にはひられないからね。
長崎小品
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
桐の小箱を取り上げて、中から、精巧な
牙彫
(
げぼり
)
の根付を出して、じっと、灯にかざして
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
あの
牙彫
(
げぼり
)
の根付は、たぶん抜荷を受取る手形のようなものだろう。吉三郎は仲間では三下だが、あの牙彫の手形を手前のところから見付けて持って行くと、急に
頭領
(
かしら
)
の株を狙って、抜荷の大儲けを
銭形平次捕物控:083 鉄砲汁
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
当時
牙彫
(
げぼり
)
がよく横浜に出て、非常に儲かったものだそうだが、父は自分は木彫を習ったのだからと言って遂にやらなかった。又その間に、鋳流しの
蝋型
(
ろうがた
)
を作る仕事をした。
回想録
(新字新仮名)
/
高村光太郎
(著)
その上顔は美しい
牙彫
(
げぼり
)
で、しかも唇には
珊瑚
(
さんご
)
のような一点の朱まで加えてある。……
黒衣聖母
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
例の
堅気
(
かたぎ
)
な
牙彫
(
げぼり
)
の職人らしい
扮装
(
つくり
)
、落ちつき払った
容子
(
ようす
)
で、雪之丞の宿の一間に、女がたの戻りを待っているのだが、もう顔を見せそうなものだと思いはじめてから、四半
晌
(
とき
)
、半晌
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
「あの
牙彫
(
げぼり
)
の——」
銭形平次捕物控:083 鉄砲汁
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
牙
常用漢字
中学
部首:⽛
4画
彫
常用漢字
中学
部首:⼺
11画
“牙彫”で始まる語句
牙彫師
牙彫家