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燒芋屋
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やきいもや
燒芋屋の
前に
床几を
出して、
日向ぼつこをして
居る
婆さんがあつた。
入つて
見よう……
今前途を
聞いたのに、
道草をするは、と
氣がさして、
燒芋屋の
前を
振返ると、
私に
教へた
時、
見返つた、
其のまゝに、
外を
向いて、こくり/\と
然も
暖とさうな
懷手の
居睡りする。
店の
竈の
上で、
笊の
目を
透すまで、あか/\と
日のさした
處は、
燒芋屋としては
威嚴に
乏しい。あれは
破れるほどな
寒い
晩に、ぱつといきれが
立つに
限る。で、
白晝の
燒芋屋は、
呉竹の
里に
物寂しい。