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燒原
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やけはら
何の
事ぢや、おほゝ、
成程、
燒けとる。
𤏋と
火の
上つた
處ぢやが、
燒原に
立つとる
土藏ぢやて。あのまゝ
駈𢌞つても
近まはりに
最う
燒けるものは
何にもないての。おほゝ。
安心々々。
ば後になし歸ると聞し
虎の
門も歸らぬ旅に
行空の西の久保より
赤羽の川は三
途としら
壁の
有馬長家も打過て六堂ならねど
札の
辻脇目も
振ず急ぎしか此程
高輪よりの出火にて愛宕下通り
新し橋邊まで一圓に
燒原となり
四邊曠々として
物凄く雨は次第に
降募り目先も知ぬ
眞の
闇漸々にして
歩行ける折しも
響く
鐘の
音は