やか)” の例文
旧字:
火にやかれず、水に溺れずといったような好運があるようだ。すきなことが何でも出来るッて、母様おっかさんが折紙をつけて下すった体だよ、私が見ても違いはないね。
黒百合 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
われは静寂の来りて宿る果樹園の、うつくしく穏かなる生活を、今ぞ見たり、今ぞ知りたり、悟りたり。わが生命いのち、そがめにやかれたるおそろしき思ひを、いざなげうたん。
足袋二枚はきて藁沓わらぐつつま先に唐辛子とうがらし三四本足をやかため押し入れ、毛皮の手甲てっこうしてもしもの時の助けに足橇かんじきまで脊中せなかに用意、充分してさえこの大吹雪、容易の事にあらず、吼立ほえたつ天津風あまつかぜ
風流仏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
端書はしがきせよとのもとめはあれど。筆もつすべも白炭しらすみや。やかぬ昔の雪の枝炭屋の妻程黒からで鈍き作意の炭手前すみでまえ。曲りなりなる飾り炭。たゞ管炭くだずみのくだ/\しけれど。輪炭わずみ胴炭どうずみ点炭てんずみと重ねて御求めの有之様これあるよう
塩原多助一代記 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
もう一度名主役を惣吉さんが勤めなえば私の顔が立ちませんから、どうか達者でけえっておくんなさえよ、惣吉さん今迄とア違うから、母様かゝさまに世話アやかせねえ様に、母様ア大事でえじにしなえばなんねえよ
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)