がらす)” の例文
夜明よあがらすの声と暁の風とで、ふと気がついた机竜之助は、自分の身が、とある小川の流れに近く、篠藪ささやぶの中に横たわっていることを知った。
赤穂浪人がどう立ち廻ろうと、主人の側近を、この三がらすで囲んでいる以上は、指も触れさせる事ではないと、暗黙のうちに誓いを固め合っていた。
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
八「風吹かざふがらすびんつくで女の子に可愛がらりょうとアおしつええや、この沢庵たくあん野郎」
使女A 銀鋲ぎんびょうの着いた冑を冠り、緋の袍の上へ、銀と真鍮とで造った腹巻はらまきをしめ、濡れがらすよりも黒い髪の毛を右と左の肩に垂らし、それを片手でなぶりなぶり小声で歌を唄うていた二十七
レモンの花の咲く丘へ (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
ぬにくる夜明よあがらすもこうときて反哺はんぽをしへとなるものを
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
「かわいいかわいいと啼くがらすそろ
丹下左膳:02 こけ猿の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
月の下の、青毛の毛づやは、漆黒しっこくといっても、がらすといっても、なおいい足りない。
いわゆる、徳川時代の名物、伊賀者いがもの元祖がんそは、この菊池半助きくちはんすけと、柘植半之丞つげはんのじょう服部小源太はっとりこげんたの三がらす。そのひとりである半助が、忍術にんじゅつけているのはあたりまえ、あらためてここにいう要がない。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)