滅茶々々めちや/\)” の例文
ガラツ八と佐吉が滅茶々々めちや/\に縛り上げた曲者を見ると、下谷から淺草の界隈かいわいを、物貰ひをして歩く馬鹿の馬吉といふ達者な三十男。
いゝえ御婦人ごふじんかぎつたことはありますまいとも。……げんわたくし迷惑めいわくをしたんですから……だれだつて見境みさかひはないんでせう。其奴そいつ砂利じやりつかんで滅茶々々めちや/\擲附ぶツつけるんです。
艶書 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
彼女の絹の着物を引き裂いて、滅茶々々めちや/\にすることも、珍らしくないのだ。それでもなほ、リード夫人の「大切な一人ツ子」であつた。私は、どんな過失あやまちをかさないようにした。
それをると、とうさんはその蝶々てふ/\ころしてしまはないうちは安心あんしん出來できないやうながして、にした竹竿たけざをで、滅茶々々めちや/\枳殼からたちえだはうつていて、それから木戸きどうちみました。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
其處は荒物屋の裏二階で、何となく小綺麗こぎれいに住んで居りますが、家主の荒物屋でくと、與三郎の評判はまことに滅茶々々めちや/\です。
穴倉から出て奧の部屋へ行くと、平次が想像した以上の贅澤な調度の中に、姉娘の多與里は、滅茶々々めちや/\に縛られておつ轉がされて居ります。
銭形平次捕物控:124 唖娘 (旧字旧仮名) / 野村胡堂(著)
其處には主人の金右衞門が細引で首を絞められて、物凄ものすさまじい形相で死んで居り、少し離れて手代の喜三郎、これは滅茶々々めちや/\に切られて死んで居るのです。
八五郎と新吉が階子段を轉がるやうに降りて行くと、六疊では用心棒の力松を中心に、番頭の周助以下五六人の者が、何やら滅茶々々めちや/\み合つて居るのです。
「親と親との昔々の約束は、お福を仲屋が貰つて、錦太郎の嫁にする筈だつたとよ。それが、仲屋の主人が死んで、身代が滅茶々々めちや/\になつて仕舞ふと、一人娘を嫁にくれとは言ひにくからう」
次は田町の鑄掛屋いかけやの伜藤吉、これは十二になつて、たくましい子でしたが、夕方使に出た歸り、近道をして濱で曲者におそはれ、持物も着物も滅茶々々めちや/\に千切つて捨てゝ、それつ切り姿を見せません。
いやもう滅茶々々めちや/\です。