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溝川
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どぶがわ
ふりがな文庫
“
溝川
(
どぶがわ
)” の例文
裏の
溝川
(
どぶがわ
)
で秋の
蛙
(
かわず
)
が枯れがれに鳴いているのを、お
染
(
そめ
)
は寂しい心持ちで聴いていた。ことし十七の
彼女
(
かれ
)
は今夜が勤めの第一夜であった。
鳥辺山心中
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
彼らは自ら
宇宙塵
(
うちゅうじん
)
となるために出発したのだ”“あたら貴重なる資材と人材とを
溝川
(
どぶがわ
)
の中に捨てるようなこの挙に対し、全く好意が持てない。
宇宙尖兵
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
月に魅せられて、ついうかうかとさまよい出て、市中または林間田野を歩き廻り、覚えず
溝川
(
どぶがわ
)
に落ち入り、折々は死ぬるものもあるとか聞きました。
鴎外の思い出
(新字新仮名)
/
小金井喜美子
(著)
飾り屋のお雪が丸屋の嫁になるのが
口惜
(
くや
)
しいと言って、元鳥越の丸屋からは、
溝川
(
どぶがわ
)
一つ
隔
(
へだ
)
てた
猿屋町
(
さるやちょう
)
の粉屋のお光が、白装束を着て飛出したという話を——。
銭形平次捕物控:081 受難の通人
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
あるいはまた成功して虚栄の念に
齷齪
(
あくせく
)
するよりも、
溝川
(
どぶがわ
)
を流れる
芥
(
あくた
)
のような、
無知放埒
(
むちほうらつ
)
な生活を送っている方が、かえってその人には幸福であるのかも知れない。
ひかげの花
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
▼ もっと見る
大和の吉野山から
白山桜
(
しろやまざくら
)
をはじめてここへ移植した平右衛門の曽孫で、界隈きっての旧家。ひょろ松が、
溝川
(
どぶがわ
)
の中を藁馬をひきずりまわしていたころには、さんざ世話をかけた叔父さん。
顎十郎捕物帳:15 日高川
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
林の
曲
(
まが
)
り
角
(
かど
)
やせまいやぶのなかにかかると、はいどう、はいどう馬を止めて、ゆっくりあるかせます。あぶない
橋
(
はし
)
の上でも
溝川
(
どぶがわ
)
のふちでも、ほい、ほい、いいながら、ぶじに通りぬけました。
たにしの出世
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
それから
溝川
(
どぶがわ
)
のごぼごぼいう重い音がして、男がそこをそっと通ると、暗い小路をまがった。漆のような闇がつづいた五軒目の、ぼんやり
点
(
とも
)
れた電燈にまざまざと格子戸がはまっている。……。
香爐を盗む
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
その頃の権田原は広い野原で、まだ枯れ切らない冬草が、武蔵野の名残りをとどめたように生い茂って、そのあいだには細い
溝川
(
どぶがわ
)
が流れていた。
半七捕物帳:60 青山の仇討
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
その近く石の常夜灯の高く立つあたりのだらだら坂を下りた処が
牛
(
うし
)
の
御前
(
ごぜん
)
でした。そこからあまり広くもない道を二、三町行った突当りに
溝川
(
どぶがわ
)
があって、道が三つに分れます。
鴎外の思い出
(新字新仮名)
/
小金井喜美子
(著)
が
盲目
(
めくら
)
滅法にパクついたのでは、タスカローラの深海魚のスチューも、裏の
溝川
(
どぶがわ
)
の
鰌
(
どじょう
)
の柳川鍋もあまり変りがなく、喰う方も喰わせる方も、まことに
張合
(
はりあい
)
の無いことであります。
奇談クラブ〔戦後版〕:13 食魔
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
その
草叢
(
くさむら
)
の中には、ところどころに小さい池や
溝川
(
どぶがわ
)
のようなものもあって、釣りなどをしている人も見えた。
綺堂むかし語り
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
蛇がずるずるとそこの
溝川
(
どぶがわ
)
へ這入ったかと思うと、今まではそれほどいようと思わなかった蛙が一度にがあがあ鳴出して、
潜
(
もぐ
)
るのもあれば、足を伸して泳ぐのもあり、道へ飛上るのもあって
鴎外の思い出
(新字新仮名)
/
小金井喜美子
(著)
雑司ヶ谷へゆき着いて、大久保式部の下屋敷をたずねると、さすがは千石取りの隠居所だけに屋敷はなかなか手広そうな構えで、前には小さい
溝川
(
どぶがわ
)
が流れていた。
半七捕物帳:08 帯取りの池
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
門口
(
かどぐち
)
には目じるしのような柳の大木が
栽
(
う
)
えてあって、まばらな
四目垣
(
よつめがき
)
の外には小さい
溝川
(
どぶがわ
)
が流れていた。
半七捕物帳:53 新カチカチ山
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
以前は少し大きい
溝川
(
どぶがわ
)
のようなところにはきっと河獺が棲んでいたもので、現に愛宕下の桜川、あんなところにも巣を作っていて、ときどきに人を
嚇
(
おど
)
かしたりしたもんです。
半七捕物帳:10 広重と河獺
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
その木の下には細い
溝川
(
どぶがわ
)
が流れていた。
半七捕物帳:56 河豚太鼓
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
溝
常用漢字
中学
部首:⽔
13画
川
常用漢字
小1
部首:⼮
3画
“溝”で始まる語句
溝
溝板
溝渠
溝泥
溝鼠
溝口
溝端
溝際
溝石
溝壑