淤泥おでい)” の例文
しかもその俗語の俗ならずしてかえって活動する、腐草ほたると化し淤泥おでいはちすを生ずるの趣あるを見ては誰かその奇術に驚かざらん。
俳人蕪村 (新字新仮名) / 正岡子規(著)
そして彼女を妹の如くに愛する。彼女の力になって遣る。彼女を淤泥おでいうちから救抜する。僕の想像はこんな取留のない処に帰着してしまった。
(新字新仮名) / 森鴎外(著)
我と彼との愛こそ淤泥おでいうちに輝く玉の如きものなれ、我はこの一つの穢れざるをいだきて、この世のすべて穢れたるを忘れん。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
久しく自然主義の淤泥おでいにまみれて、本来の面目を失してゐた人道ユウマニテエが、あのエマヲのクリストの如く「日かたぶきて暮に及んだ」文壇にふたたび姿を現した時、如何に我々は氏と共に
あの頃の自分の事 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
ただ願ふらくはかの如来にょらい大慈だいじ大悲だいひ我が小願の中において大神力を現じ給ひ妄言まうげん綺語きご淤泥おでいして光明顕色けんじき浄瑠璃じゃうるりとなし、浮華ふくわの中より清浄しゃうじゃう青蓮華しゃうれんげを開かしめ給はんことを。
二十六夜 (新字旧仮名) / 宮沢賢治(著)
嗚呼アヌンチヤタは我を去りて此輕薄男子にきしなり。この男子アヌンチヤタを獲てより幾時をか經し。而るに其唇は早く既にこの淤泥おでいもてね成したる妖姫の身に觸るゝなり。
あにいわんや旬朔じゅんさくをや、なんじ汝の家に還らば事古儀に合わんと、妃曰くわれ穢虫わいちゅうの窟にありといえども蓮の淤泥おでいに居るがごとしわれ言信あれば地それけんと、げんおわりて地裂く、曰くわが信現ぜりと
しかもその俗語の俗ならずしてかへつて活動する、腐草ふそうほたると化し淤泥おでいはちすを生ずるの趣あるを見ては誰かその奇術に驚かざらん。
俳人蕪村 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
ただ願うらくはかの如来にょらい大慈だいじ大悲だいひ我が小願の中において大神力を現じ給い妄言もうげん綺語きご淤泥おでいして光明顕色けんじき浄瑠璃じょうるりとなし、浮華ふかの中より清浄しょうじょう青蓮華しょうれんげを開かしめ給わんことを。
二十六夜 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
殊に前景の土のごときは、そこを踏む時の足の心もちまでもまざまざと感じさせるほど、それほど的確にいてあった。踏むとぶすりと音をさせてくるぶしが隠れるような、なめらか淤泥おでいの心もちである。
沼地 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)