海老蔵えびぞう)” の例文
市川海老蔵えびぞうは甲府へ乗り込む時にここの川越しに百両の金を強請ゆすられたために怖毛おぞけふるって、後にこの本街道を避けて大菩薩越えをしたということ。
市川海老蔵えびぞうの名を継いだので、「川中島」の狂言のなかで団十郎と菊五郎とが猟夫になってその改名の口上こうじょうを述べ、海老蔵が山賊になって山神さんじんやしろからあらわれて
明治劇談 ランプの下にて (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
父には晩酌ばんしゃく囲碁のお相手、私には其頃出来た鉄道馬車の絵なぞをかき、母には又、海老蔵えびぞう田之助たのすけの話をして、更渡ふけわたるまでの長尻ながしりに下女を泣かした父が役所の下役
(新字新仮名) / 永井荷風(著)
今の市川団十郎の親の海老蔵えびぞうが道頓堀の芝居に出て居るときで、芝居の話をすると、山田は海老蔵のよばいを見るなんて云うくらいな御幣担だから、性質は至極しごく立派な人物だけれとも
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
差別待遇がはなはだしかったため、七代目団十郎(隠居して海老蔵えびぞう白猿はくえんと号す)は
朱絃舎浜子 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
古代に日本武尊やまとたけるのみこと、中世に日蓮上人の遊跡ゆうせきがあり、くだって慶応の頃、海老蔵えびぞう小団次こだんじなどの役者が甲府へ乗り込む時、本街道の郡内ぐんないあたりは人気が悪く
今の市川団十郎いちかわだんじゅうろうの実父海老蔵えびぞうが道頓堀の興行中、る夜同窓生が今から道頓堀の芝居に行くから一緒に行こう、酒もあると云うから、私は酒ときいて応と答え、ソレから行く道で酒を一升かっ
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
春水しゅんすいが手錠はめられ海老蔵えびぞうは、お江戸かまひの「むかし」なら、わしも定めし島流し、すずりの海の波風に、命の筆の水馴竿みなれざお、折れてたよりも荒磯の、道理引つ込む無理の世は、今もむかしの夢のあと
妾宅 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
海老蔵えびぞうはいいわね、なんて勇ましいんでしょう、杉之助もよかったが、海老蔵はまたいいわ」
大菩薩峠:24 流転の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
米友様、よくあののぼりの文字をごらん、市川海老蔵えびぞう——と誰が眼にも、ちょっとはそう読めるだろう。ちょっと見れば市川海老蔵だが、よくよく見ると、海老のという字がになっていらあ。
大菩薩峠:23 他生の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
「ほほう、松本の町へ、海老蔵えびぞうが乗込んで来たぞ」
大菩薩峠:24 流転の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)