うっ)” の例文
御幣ははるかに、不思議に、段々みぎわを隔るのが心細いようで、気もうっかりと、紫玉は、便たより少ない心持ここちがした。
伯爵の釵 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
実はその庄吉の部屋でな賭博ばくちが始まって居ります所へうっかり手を出して負けた穴塞あなふさぎの金でございます
敵討札所の霊験 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
御幣ごへいはるかに、不思議に、段々みぎわへだたるのが心細いやうで、気もうっかりと、紫玉は、便たより少ない心持ここちがした。
伯爵の釵 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
それとも知らず自分の弁当は流してしまい、旦那の持って居なさる弁当箱には秋田屋のしるしがござんすから、二日二夜ふたよさのひもじさにうっかり喰ったのが天道様てんとうさまばちでござんしょう、旦那
後の業平文治 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
あの洒落しゃれものの坊さんが、頭を天日にさらしたというのを思出す……「意気な人だ。」とうっかり、あみ棚に預けた夏帽子の下で素頭すこうべたたくと、小県はひとりでうっかり笑った。
灯明之巻 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
と眞達がうっかり渡し口に眼を着けて居りますると、腰に差して居りましたる重ねあつの一刀を抜くより早く、ぷすりっと肩先深くあびせますと、ごろり横に倒れましたが、眞達は一生懸命
敵討札所の霊験 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
と云ったがうっかり倉の方へ這入り、盗賊どろぼうに長いものひっさげて出られちゃア堪りませんし、由兵衞はぶる/\して役に立ちませんから、幸三郎が自身に駈出して参ると、丁度巡行の査公さこうに出会いました。
霧陰伊香保湯煙 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
始めておほゝゝゝわたしアまアうっかりとして、只お懐かしいので美代ちゃんの事ばかり………藤川様とか……誠にね、かねてお噂には伺って居りましたが……そうでございましたか、ついね、心安立こゝろやすだてにもうね
松と藤芸妓の替紋 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)