浮雲ふうん)” の例文
げふとして暫く此山中に住居しが次第々々に同氣どうき相求あひもとむる手下の出來いできしかば今は三十一人の山賊さんぞく張本ちやうほんとなり浮雲ふうんとみに其日を送りける然るに一年ひととせ上方に住し折柄をりから兄弟のやく
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
それでまためづらしくなつて、一旦いつたんせたのをまたけてると、不圖ふと假名かなまじらない四角しかくが二ぎやうほどならんでゐた。それにはかぜ碧落へきらくいて浮雲ふうんき、つき東山とうざんのぼつてぎよく一團いちだんとあつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
篠田は梅子の肩、両手もろてに抱きて「心弱きものと御笑ひ下ださいますな——アヽ今こそ此心晴れ渡りて、一点憂愁いうしう浮雲ふうんをも認めませぬ、——然らば梅子さん、是れでお訣別わかれ致します」
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
げにも浮雲ふうんの人生、人事はかり知れないものがある。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
富貴まこと浮雲ふうん 滑稽初めて正風しょうふう
江戸芸術論 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
それでまた珍らしくなって、いったん伏せたのをまた開けて見ると、ふと仮名かなの交らない四角な字が二行ほど並んでいた。それにはかぜ碧落へきらくいて浮雲ふうんき、つき東山とうざんのぼってぎょく一団いちだんとあった。
(新字新仮名) / 夏目漱石(著)
つき明瞭あきらかならんとすれば浮雲ふうん之をおほひ花美麗うるはしからんとすれば風雨之を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)