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浮游
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ふゆう
ふりがな文庫
“
浮游
(
ふゆう
)” の例文
先ずここでいう上層の空気中に
浮游
(
ふゆう
)
する塵というのは、われわれが普通に塵と呼んでいるものよりも遥かに小さいものなのである。
雪
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
怖ろしいのは、渦まくそれよりも、寸断された障碍の縄が、なお藻のように
浮游
(
ふゆう
)
しているので、それが馬の四肢に
搦
(
から
)
みつくことであった。
源頼朝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
海上には、
夥
(
おびただ
)
しい油が浮びあがり、それに
交
(
まじ
)
って、見るも無惨な人間の手や足などが、ぶかぶかと
浮游
(
ふゆう
)
している。
二、〇〇〇年戦争
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
私は
今朝
(
けさ
)
あの七号室で眼を開いた時と少しも変らない……依然としてタッタ一人で宇宙間を
浮游
(
ふゆう
)
する、悲しい、淋しい、無名の一
微塵
(
みじん
)
に過ぎないのであった。
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
塔橋を渡ってからは
一目散
(
いちもくさん
)
に塔門まで
馳
(
は
)
せ着けた。見る
間
(
ま
)
に三万坪に余る過去の
一大磁石
(
いちだいじしゃく
)
は
現世
(
げんせ
)
に
浮游
(
ふゆう
)
するこの
小鉄屑
(
しょうてつくず
)
を吸収しおわった。門を
入
(
はい
)
って振り返ったとき
倫敦塔
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
▼ もっと見る
行方
(
ゆくえ
)
も分かぬ、
虚空
(
こくう
)
の
彼方
(
かなた
)
にぎらぎらと放散しているんだ。定かならぬ浮雲のごとく
天
(
あま
)
の
原
(
はら
)
に
浮游
(
ふゆう
)
しているんだ。
天雲
(
あまぐも
)
の行きのまにまに、ただ
飄々
(
ひょうひょう
)
とただよっている……
なよたけ
(新字新仮名)
/
加藤道夫
(著)
無限の空間に魂が
浮游
(
ふゆう
)
してるようなものだ。その魂はもう他の所では生き得ないだろう。
ジャン・クリストフ:09 第七巻 家の中
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
音のない静かさのなかで、自分らの発したそれらの言葉があたりに
浮游
(
ふゆう
)
しているかと思われた。少しの
曖昧
(
あいまい
)
さもなくじーんと耳にひびいて、文字に書き記したほどに
明瞭
(
はっき
)
りした。
石狩川
(新字新仮名)
/
本庄陸男
(著)
その外に煙突の煙からは
煤
(
すす
)
に混じて金属の微粒も出る、火山の噴出物もまた色々の
塵
(
ちり
)
を供給する。その上に地球以外から飛来する
隕石
(
いんせき
)
の粉のようなものが、いわゆる
宇宙塵
(
コスミックダスト
)
として
浮游
(
ふゆう
)
している。
塵埃と光
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
ただ天然の場合は数時間かかって落ちて来る間にあれだけの発達をするのであるから、その時間だけ結晶を空中に
浮游
(
ふゆう
)
させる必要がある。
雪雑記
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
小野ノ連、
詮索
(
せんさく
)
するように文麻呂の眼付、挙動をじろじろ眺めている。文麻呂は
得体
(
えたい
)
の知れぬ興奮に、その眼は異様に輝き、なるほど、天空に向って
浮游
(
ふゆう
)
しているかのようだ。
なよたけ
(新字新仮名)
/
加藤道夫
(著)
分解された無数の木材は濁流のままうごき出して、この大湖沼の周囲を
浮游
(
ふゆう
)
していた。
新書太閤記:07 第七分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
小さな子供のいる食卓の上には子供の数だけのゴム風船が
浮游
(
ふゆう
)
している。
柿の種
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
生暖かい水の中を
浮游
(
ふゆう
)
している夢を見初める。
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
「その芯になるものは通例、顕微鏡でも見えないほどの、非常に細い塵のようなものです。空気中にはそれが自然に沢山
浮游
(
ふゆう
)
しているのです。」
「茶碗の湯」のことなど
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
藤甲の特徴は、第一水に濡れても
透
(
とお
)
しません。第二は非常に軽いので、身体軽敏です。第三には、江を渡るにも船を用いず、藤甲の兵はみなよく水に身を浮かして自由自在に
浮游
(
ふゆう
)
します。
三国志:10 出師の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
浮
常用漢字
中学
部首:⽔
10画
游
漢検1級
部首:⽔
12画
“浮游”で始まる語句
浮游物