機械からくり)” の例文
あっぱの宮田——おしの宮田——という綽名をつけられて、心さえ持ってはいない機械からくり、ちいっとばっか工合のええ機械のように
禰宜様宮田 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
仮にまたあの家へ行くにしても、何か機械からくりのありそうな影屋敷の内部なかをのぞいて見ることも、何となくお蔦の好奇心をそそのかすのだった。
つづれ烏羽玉 (新字新仮名) / 林不忘(著)
喜兵衛はその笛を押しいただいて殆んど機械からくりのように起ちあがって、無言で丁寧に会釈えしゃくして別れた。
青蛙堂鬼談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
硝子ガラスを——ガラス屋がそうはなかったから、機械からくりかめやその他の玩具おもちゃの箱のふたを集めて具合よく敷きこんで、金、銀の丈長たけながや、金銀をあしらった赤や緑の巾広はばひろの丈長を
かげまわりて機械からくりいとひききしは藤本ふぢもと仕業しわざきはまりぬ、よしきううへにせよ、もの出來できるにせよ、龍華寺りうげじさまの若旦那わかだんなにせよ、大黒屋だいこくや美登利みどりかみまいのお世話せわにもあづからぬもの
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
法信は機械からくり人形のようにその場にひれ伏した。
死体蝋燭 (新字新仮名) / 小酒井不木(著)
機械からくりのごとうごく。いまあや
邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
旅にやつれた機械からくり人形。
小熊秀雄全集-14:童話集 (新字旧仮名) / 小熊秀雄(著)
あっぱの宮田は、ほんとにはあ機械からくり同然だ。何をしても憤らなきゃあ、小言も云わない。頼むぞと云いさえすりゃあいやと云えねえ爺さまだ。
禰宜様宮田 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
この火事そのものに、機械からくりがあるような気がしてならない。左膳は、左手で顎をなで、頭をかしげて考えこむ。チョビ安も、左手で顎をなで、頭をかしげて考えこむ。
丹下左膳:02 こけ猿の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)