“来合(きあわ)” の例文
旧字:來合
然(そ)うです、然うです。明日(みょうにち)は是非御案内を為(し)ましょう。今日は丁度(ちょうど)好(い)い処へ来合(きあわ)せまして、種々(いろいろ)有益なお話を伺いました。
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
羯翁(かつおう)の催しにて我枕辺に集まる人々、正客(しょうきゃく)不折を初として鳴雪(めいせつ)、湖村(こそん)、虚子(きょし)、豹軒(ひょうけん)、及び滝氏ら、蔵六も折から来合(きあわ)されたり。草庵ために光を生ず。
墨汁一滴 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
一〇一 旅人豊間根(とよまね)村を過ぎ、夜更(ふ)け疲れたれば、知音(ちいん)の者の家に灯火の見ゆるを幸(さいわい)に、入りて休息せんとせしに、よき時に来合(きあわ)せたり、今夕死人あり
遠野物語 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
その白蛇の様な肌を、何かの用で工場へ来合(きあわ)せた吉蔵が一目見て、四十男の恋の激しさ、お由に附纏(つきまと)う多くの若い男を見事撃退して、間も無く妾とも女房とも附かぬものにしてしまったのである。
白蛇の死 (新字新仮名) / 海野十三(著)
けれども、飽(あく)まで不運なる彼は此(ここ)で又もや強敵に逢った。巡回中の塚田巡査が恰(あたか)もここへ来合(きあわ)せて、角燈(かくとう)の火を其(そ)の鼻の先へ突付(つきつ)けたのである。重太郎も之(これ)には少しく怯(ひる)んだ。
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
風吹(かぜふき)ということが一つの様式を備えているうえに、家に一族の集まっていたというのは、祭か法事の場合であったろうが、それへ来合(きあわ)せたとあるからには、すでに幾分の霊の力を認めていたのである。
山の人生 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
其(その)結果、お葉も討たれ、重太郎も討たれた。𤢖二人(ににん)も枕を駢(なら)べて死んだ。究竟(つまり)双方が相撃(あいうち)となった処へ、忠一が後(あと)から又来合(きあわ)せて、残る一人(いちにん)の𤢖も自殺を遂げるような事になったのであろう。
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)