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材木町
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ざいもくちやう
材木町の
陶器屋の
婦、
嬰兒を
懷に、
六歳になる
女兒の
手を
曳いて、
凄い
群集のなかを
逃れたが、
大川端へ
出て、うれしやと
吻と
呼吸をついて、
心づくと、
人ごみに
揉立てられたために
歸しけり
夫より長兵衞は
大傳馬町家主平右衞門方へ
行先達て
御話の
聟殿白子屋庄三郎方にて
貰ひ
度由故御世話下さるべし白子屋事は
材木町にて千三百
兩の
地面も
持居御屋敷方の出入
澤山有て
株敷は三千兩
程なり然れば五百
兩位は
持參ありても
宜しかるべし
殊更娘お熊は當年廿二歳にて
容貌もよく
承はれば
聟殿は