しる)” の例文
汝がこの言を心にゑがきて(たとひしるさざるも)こゝより携へ歸るにあり、かくするは巡禮が棕櫚にて卷ける杖を持つとそのことわり相同じ。 —七八
神曲:02 浄火 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
これらの人をつらねて、五〇貨殖伝くわしよくでんしるし侍るを、其のいふ所いやしとて、のちの博士はかせ筆を競うてそしるは、ふかくさとらざる人のことばなり。五一つねなりはひなきは恒の心なし。
運命の人を揶揄やゆすることもまた甚しいではないか。草稿の裏には猶数行の余白がある。筆の行くまま、詩だか散文だか訳のわからぬものをしるして此夜のうれいを慰めよう。
濹東綺譚 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
日浮びてひかりを重ね、雲散りてかすまず。えだを連ね穗をはすしるしふみひとしるすことを絶たず、とぶひを列ね、をさを重ぬるみつきみくらに空しき月無し。名は文命よりも高く、徳は天乙にまされりと謂ひつべし。