びき)” の例文
れのみ一人ひとりあしびきやま甲斐かひみねのしらくもあとをすことりとは是非ぜひもなけれど、今歳ことしこのたびみやこをはなれて八王子わうじあしをむけることこれまでにおぼえなきらさなり。
ゆく雲 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
仇吉あだきちだったか、よね八だったか、女が、小梅の茶屋で、情人いろの丹次郎を待ちあわせている。……逢いびきの待つが長く、じれぎみになっているうちに、男の影が、小梅田ン圃の彼方あなたに見えてくる。
梅ちらほら (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「いくら破廉恥はれんちでも淫売婦のびきじゃないのよ。」
女百貨店 (新字新仮名) / 吉行エイスケ(著)
我れのみ一人あしびきの山の甲斐かひみねのしら雲あとを消すことさりとは是非もなけれど、今歳ことしこの度みやこを離れて八王子に足をむける事これまでに覚えなきらさなり。
ゆく雲 (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)