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春宵
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しゅんしょう
ふりがな文庫
“
春宵
(
しゅんしょう
)” の例文
この家の
深窓
(
しんそう
)
の
佳人
(
かじん
)
と玄徳とが、いつのまにか、
春宵
(
しゅんしょう
)
の秘語を楽しむ仲になっているのを目撃して、関羽は、非常なおどろきと
狼狽
(
ろうばい
)
をおぼえた。
三国志:02 桃園の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
現に
今日
(
きょう
)
、和泉式部を訪れたのも、
験者
(
げんざ
)
として来たのでは、勿論ない。ただこの
好女
(
こうじょ
)
の数の多い情人の一人として
春宵
(
しゅんしょう
)
のつれづれを慰めるために忍んで来た。
道祖問答
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
落着いた先は小梅の大きな寮、隅田川から水を引いた池の上には、見事な遊山船を浮べて、
春宵
(
しゅんしょう
)
一刻を惜しむの長夜の宴を、昨日も今日も開いているのでした。
銭形平次捕物控:088 不死の霊薬
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
孤村
(
こそん
)
の温泉、——
春宵
(
しゅんしょう
)
の
花影
(
かえい
)
、——
月前
(
げつぜん
)
の
低誦
(
ていしょう
)
、——
朧夜
(
おぼろよ
)
の姿——どれもこれも芸術家の
好題目
(
こうだいもく
)
である。
草枕
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
以上は言わばたわいもない
春宵
(
しゅんしょう
)
の空想に過ぎないのであるが、しかし、ともかくもわれわれが金城鉄壁と頼みにしている
頭蓋骨
(
ずがいこつ
)
を日常不断に貫通する弾丸があって
蒸発皿
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
▼ もっと見る
服装
(
なり
)
だって見上げたもので、まだ薄ら寒いこの
春宵
(
しゅんしょう
)
に、よごれ切った
藍微塵
(
あいみじん
)
の
浴衣
(
ゆかた
)
一まい、長い
刀
(
やつ
)
を一本ブッこんで、髪なんかでたらめだ。クシャクシャに
束
(
つか
)
ね
上
(
あ
)
げている。
魔像:新版大岡政談
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
支那
(
しな
)
の詩人は悩ましげにも、「
春宵
(
しゅんしょう
)
一刻価千金」と
歎息
(
たんそく
)
している。そは快楽への非力な冒険、追えども追えども
捉
(
とら
)
えがたい生の意義への、あらゆる人間の心に通ずる歎息である。
詩の原理
(新字新仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
君帰り物語りすと見しは夢、ふとうたたねの
春宵
(
しゅんしょう
)
の夢
遠藤(岩野)清子
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
げに、一刻千金
春宵
(
しゅんしょう
)
のながめよりも
儚
(
はか
)
なき青春よ!
艶容万年若衆
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
春宵
(
しゅんしょう
)
をあだに過ぎなば
悔
(
くい
)
あらん
五百五十句
(新字旧仮名)
/
高浜虚子
(著)
それだから千金の
春宵
(
しゅんしょう
)
を心も空に満天下の
雌猫雄猫
(
めねこおねこ
)
が狂い廻るのを
煩悩
(
ぼんのう
)
の
迷
(
まよい
)
のと
軽蔑
(
けいべつ
)
する念は毛頭ないのであるが、いかんせん誘われてもそんな心が出ないから仕方がない。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
春宵
(
しゅんしょう
)
一刻
価
(
あたい
)
千金、ここばかりは時を
得
(
え
)
顔
(
がお
)
の
絃歌
(
げんか
)
にさざめいている。
つづれ烏羽玉
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
春宵
(
しゅんしょう
)
や柱のかげの
少納言
(
しょうなごん
)
五百句
(新字旧仮名)
/
高浜虚子
(著)
ただこの靄に、
春宵
(
しゅんしょう
)
の二字を冠したるとき、始めて妥当なるを覚える。
草枕
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
春宵
(
しゅんしょう
)
の此一刻を惜むべし
五百五十句
(新字旧仮名)
/
高浜虚子
(著)
“春宵”の意味
《名詞》
春宵(しゅんしょう)
春の宵。春夜。春の季語。
(出典:Wiktionary)
春
常用漢字
小2
部首:⽇
9画
宵
常用漢字
中学
部首:⼧
10画
“春宵”で始まる語句
春宵怨