早起はやおき)” の例文
ロレ 冥加みゃうがあらせたまへ! れぢゃ、この早朝さうてうに、なつかしいその聲音こわねは? ほう、わかくせ早起はやおきは、こゝろ煩悶わづらひのある證據しょうこぢゃ。
ロオランスの教へに来る画室アトリエを参観にかうと徳永に約束がしてあつたので珍らしく早起はやおきをした。その晩には薄い初雪が降つた程朝から寒い日であつた。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
自害じがいを見付けたのは、早起はやおきの良助と太吉、雨戸を繰つて、春の朝風を入れる時、この慘事さんじに氣がついた——といふことは、先刻他の奉公人達から聽いたことでした。
彼女は、どうかすると早起はやおきをして、台所に出たり、部屋の大掃除をしたり、菜漬なづけをつけたりする。と思うと、戸山が原へ、銀のような色の月光を浴びにいったりする。
遠藤(岩野)清子 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
「六時に立てる位な早起はやおきの男なら、今時分じぶんわざわざ青山あをやまからつてやしない」と云つた。改めて用事を聞いて見ると、矢張り予想のとほ肉薄にくはくの遂行に過ぎなかつた。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
勇「大層早く起きたのウ、おめえには珍らしい早起はやおきだ、待て/\今明けてやる」
いそがせしが知者しるものたえてあらざりけり夜明し後に長家の者は一同起出おきいで夫々のげふつけども家主の庄兵衞方は戸も明ず夫のみならず長家中では早起はやおきなりと評判する武左衞門の家も戸があかねば不思議に思ひて起して見んとお金を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
「病気はうだい。」「四五日でなほつて仕舞しまつた。」「さう早起はやおきなんかしてもり返しはしないかい。」「大丈夫だ、今日けふは徳永が君達の行つてる画室アトリエを観せると云つたから六時に起きたよ。」
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
新「お早い事、年寄は早起はやおきだ」
其れに招伴せうばんをする者は主婦と、特別に下宿人の中から僕一人が選ばれる。主婦は毎日早起はやおきをして天気さへ好ければ婆さんを馬車や自動車に乗せて散歩にれてく。芝居へも度度たびたび一緒にく。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)