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旅烏
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たびがらす
ふりがな文庫
“
旅烏
(
たびがらす
)” の例文
さはあれ、呂昇はよき師をとり、それに一心不乱の勤勉と、天性の美音とが、いつまでも
駈出
(
かけだ
)
しの
旅烏
(
たびがらす
)
にしておかなかった。
豊竹呂昇
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
浪人は一人ぽっちの
旅烏
(
たびがらす
)
なので、祭りのおりには知らぬ顔で通り過ぎたが、その時は少年の素通りを許さなかった。
夜明け前:02 第一部下
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
納屋の中からは
大釜
(
おおがま
)
や
締框
(
しめわく
)
がかつぎ出され、ホック船やワク船をつとのようにおおうていた
蓆
(
むしろ
)
が取りのけられ、
旅烏
(
たびがらす
)
といっしょに集まって来た漁夫たちが
生まれいずる悩み
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
彼らは年中旅から旅、里から里へ巡り歩く
旅烏
(
たびがらす
)
の身の上であるからか、家を持ち故郷を持つ人達よりも、かえって頼もしい
心栄
(
こころば
)
えと侠気と義理とを持っていた。
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
その界隈の人々が『どうせい
自宅
(
うち
)
に居て婿どんを探しても、
旅烏
(
たびがらす
)
のGぐらいの男が関の山じゃろうけに』
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
▼ もっと見る
全体
小癪
(
こしゃく
)
な
旅烏
(
たびがらす
)
と振りあぐる
拳
(
こぶし
)
。アレと走り
出
(
いず
)
るお辰、吉兵衛も共に
止
(
とめ
)
ながら、七蔵、七蔵、さてもそなたは
智慧
(
ちえ
)
の無い男、無理に
売
(
うら
)
ずとも相談のつきそうな者を。
風流仏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
それよりの一飯も如何はすべき、舌かみ切て死なん際まで人の軒ばに立つ男ならねば、今日も暮れぬる入相の鐘に、さても塒をしらぬ身は
旅烏
(
たびがらす
)
にも劣りつべく、來るともなく行くともなく
暗夜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
「君は一生
旅烏
(
たびがらす
)
かと思ってたら、いつの
間
(
ま
)
にか舞い戻ったね。
長生
(
ながいき
)
はしたいもんだな。どんな
僥倖
(
ぎょうこう
)
に
廻
(
めぐ
)
り合わんとも限らんからね」と迷亭は鈴木君に対しても主人に対するごとく
毫
(
ごう
)
も遠慮と云う事を
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
夕暮よりも薄暗い入梅の午後
牛天神
(
うしてんじん
)
の森蔭に
紫陽花
(
あじさい
)
の
咲出
(
さきいづ
)
る頃、または
旅烏
(
たびがらす
)
の
啼
(
な
)
き騒ぐ秋の夕方
沢蔵稲荷
(
たくぞういなり
)
の
大榎
(
おおえのき
)
の止む間もなく
落葉
(
おちば
)
する頃、私は散歩の杖を伝通院の門外なる
大黒天
(
だいこくてん
)
の
階
(
きざはし
)
に休めさせる。
伝通院
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
旅
常用漢字
小3
部首:⽅
10画
烏
漢検準1級
部首:⽕
10画
“旅”で始まる語句
旅
旅籠
旅籠屋
旅人
旅宿
旅行
旅館
旅商人
旅立
旅舎