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旅嚢
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りょのう
ふりがな文庫
“
旅嚢
(
りょのう
)” の例文
彼は肩に掛けている
旅嚢
(
りょのう
)
を揺りあげ、持っている
萱笠
(
すげがさ
)
をふらりと、その岩のほうへ振った。すると、老人の顔を緑色の影がかすめた。
似而非物語
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
過去の
旅嚢
(
りょのう
)
から取り出される品物にはほとんど限りがない。これだけの品数を一度に
容
(
い
)
れ得る「鍋」を自分は持っているだろうか。
厄年と etc.
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
つまり、宿からここへ送らせた
旅嚢
(
りょのう
)
を、すっかり座敷へブチまけて、植物と押葉の分類をはじめたのです。
大菩薩峠:39 京の夢おう坂の夢の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
旅嚢
(
りょのう
)
も包みも持っていないのを見てもわかる。きっとパリーからきたのであろう。ところで、なぜこの森の中にきたのか、なぜこんな時刻にきたのか、何をしにきたのか?
レ・ミゼラブル:08 第五部 ジャン・ヴァルジャン
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
そこの地を踏まれたという鈴木さんの話にはまた、何か新しい話材が聞かれるに違いないとは思っているが、
遑
(
いとま
)
がないので先ず、自分の
旅嚢
(
りょのう
)
だけをここでは開けて見ることにする。
随筆 宮本武蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
▼ もっと見る
そして僕の
旅嚢
(
りょのう
)
はおもいがけなくも豊かにされたのでした。
大和路・信濃路
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
○同所にて染附食器を多数譲られて
旅嚢
(
りょのう
)
頓
(
とみ
)
に重くなる
台湾の民芸について
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
刀には
旅嚢
(
りょのう
)
がひっ掛けてあり、その旅嚢が背中へ触らないように、かついでいる刀をあんばいしながら、歩いていた。
樅ノ木は残った:03 第三部
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
今度こそ——という目あてがついたようなものですから、
旅嚢
(
りょのう
)
の欠乏も、さのみ気にはかかりません。むしろ、ここでお銀様の方から去ってしまったことが、身軽でよいくらいのものです。
大菩薩峠:23 他生の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
彼は首を傾けながら両の
袂
(
たもと
)
を捜し、「ちょっと待って下さい」と云って、背負っていた
旅嚢
(
りょのう
)
を解いてしらべ、小さな財布をみつけてまた首をひねった。
日日平安
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
片方の手には泥まみれで空っぽの
旅嚢
(
りょのう
)
をさげ、足にはやはり黒藤邸でつっかけて来た、ちびた古下駄をはいていた。
日日平安
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
「
下総
(
しもうさ
)
の中田
宿
(
じゅく
)
でございました」喜兵衛は
旅嚢
(
りょのう
)
の中から
文箱
(
ふばこ
)
を取り出して、甲斐の前へ差出した。その手はふるえていた、「まず御書面をごらん下さい」
樅ノ木は残った:04 第四部
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
妓たちが立ってゆくと、十左は
旅嚢
(
りょのう
)
から一巻の書状を出して、七十郎に、読んでくれ、と云った。七十郎は盃を置き、それを
披
(
ひら
)
いてざっと読みながした。
樅ノ木は残った:03 第三部
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
「いや、用があって来たんだが、それはあとのことにしよう」帯刀は
旅嚢
(
りょのう
)
の中から手紙を取り出した、「きいから預かって来た、小一郎の手紙もあるそうだ」
ちくしょう谷
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
肩へかけた
旅嚢
(
りょのう
)
も、着ている物も、すべて汗じみ、
埃
(
ほこり
)
まみれであるが、笠をぬいだところを見ると、いま洗面したばかりのように、さっぱりと
冴
(
さ
)
えた顔つきをしていた。
風流太平記
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
おすえは
頷
(
うなず
)
いた。主計は
袴
(
はかま
)
をはきながら、机の上の物をまとめてくれと云った。おすえは云われたとおりにし、書き物や、筆などを片づけて包み、脇にあった
旅嚢
(
りょのう
)
へ入れた。
失蝶記
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
意志の強そうな
唇許
(
くちもと
)
と、
睫
(
まつげ
)
のながい、
瞠
(
みひら
)
いたような眼を持っている、体はがっちりとしては見えるが、まだどこやら骨細なので腰に差した大小や、背に
括
(
くく
)
りつけた
旅嚢
(
りょのう
)
が重たげである。
春いくたび
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
彼は大きく膨れた網の
旅嚢
(
りょのう
)
を背負い、左手に厚く折畳んだ
緋羅紗
(
ひらしゃ
)
を抱えていた。
松風の門
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
六兵衛は笠をぬぎ、
旅嚢
(
りょのう
)
を取って投げると、林の下草の上へぶっ倒れた。
ひとごろし
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
旅
常用漢字
小3
部首:⽅
10画
嚢
漢検準1級
部首:⼝
18画
“旅”で始まる語句
旅
旅籠
旅籠屋
旅人
旅宿
旅行
旅館
旅商人
旅立
旅舎