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數度
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すど
以て千太郎が朝歸りの
折柄新吉原土手にて其方
行逢見るに忍びず
異見を爲すこと
數度に及び千太郎
面目無さに
逃んと爲すを其方
取押へるはずみに
咽喉の
呼吸を
其方儀
平常身持宜からず
數度夫を
持不貞の行ひありしのみならず森田屋銀五郎方の大恩を
忘れ病人を捨置
欠落致し其上我か
甥傳吉より七十五兩の大金を
遣したる
信義を
忘れ憑司と
密通致し傳吉を
上げ
恐れながら申上ます其儀は私し一向に
覺え御座りません然るに高田の役所に於て
數度の
拷問に
逢ひ
骨々も
碎け苦痛に
堪兼是非なく
無實の罪に
陷入りし所又々
再應の御吟味
誠に有難仕合せに存じ奉ります
訴訟人憑司は
現在私しの伯父ゆゑ如何成前世の
業因かと存じ
斷念無實の
罪に
服せしと申立ければ越前守殿是を