はね)” の例文
不慣な彼も、「七」の数を「なな」と発音し、「四」の数を「よん」とはねるぐらいのことはとっくに心得ていた。
桜の実の熟する時 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
じやからかさ脊筋せすぢさがりにひつかつぎたるほどこそよけれ、たかひくのみちの、ともすれば、ぬかるみのはねひやりとして、らぬだにこゝろ覺束おぼつかなきを、やがて追分おひわけかたいでんとして
森の紫陽花 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
女学生のはねっかえりが、クレオパトラに化けて大勢の黒ン坊を従えて来る、独逸面のまずいクレオパトラは人を馬鹿にしているが、その奴隷になる学生は尚のこと気が知れない。
スウィス日記 (新字新仮名) / 辻村伊助(著)
と、云ったがむしろ一枚はねると外だ。四五人が御用提灯を一つ灯して立っているからはっとしたがままよと引かれる。何かのかかり合いだろう。真逆まさか露見したのじゃあるまい。と思いながら役宅へつく。
相馬の仇討 (新字新仮名) / 直木三十五(著)
暁方あけがたになってお隅がいない処から家中うちじゅう捜しても居ない、六畳の小間が血だらけになっているから掻巻をはねると、富五郎が非業な死にようわきの処に書置が二通あって、これにお隅の名が書いてあるから
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
最後の乗馬試験ではねられてしまいました。
踊る地平線:09 Mrs.7 and Mr.23 (新字新仮名) / 谷譲次(著)
忠義と知行で、てむかいはなさらぬかしら。しめた、投げた、嬉しい。そこだ。御家老が肩衣かたぎぬはねましたよ。大勢が抜連れた。あれ危い。えらい。図書様抜合せた。……一人腕が落ちた。あら、胴切どうぎり
天守物語 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)