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提革鞄
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さげかばん
ふりがな文庫
“
提革鞄
(
さげかばん
)” の例文
沢は
薄汚
(
うすよご
)
れた、
唯
(
ただ
)
それ
一個
(
ひとつ
)
の荷物の、小さな
提革鞄
(
さげかばん
)
を
熟
(
じっ
)
と
視
(
み
)
ながら、
蒼
(
あお
)
い
形
(
なり
)
で、さし
俯向
(
うつむ
)
いたのである。
貴婦人
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
元来汽車の
中
(
うち
)
で読む了見もないものを、大きな行李に入れ
損
(
そく
)
なつたから、
片付
(
かたづ
)
ける序に
提革鞄
(
さげかばん
)
の底へ、
外
(
ほか
)
の二三冊と一所に放り込んで置いたのが、
運悪
(
うんわる
)
く当選したのである。
三四郎
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
「おくんな。」と
言
(
い
)
つて、
藪
(
やぶ
)
の
下
(
した
)
をちよこ/\と
出
(
で
)
た、
九
(
こゝの
)
ツばかりの
男
(
をとこ
)
の
兒
(
こ
)
。
脊丈
(
せたけ
)
より
横幅
(
よこはゞ
)
の
方
(
はう
)
が
廣
(
ひろ
)
いほどな、
提革鞄
(
さげかばん
)
の
古
(
ふる
)
いのを、
幾處
(
いくところ
)
も
結目
(
むすびめ
)
を
拵
(
こしら
)
へて
肩
(
かた
)
から
斜
(
なゝ
)
めに
脊負
(
せお
)
うてゐる。
山の手小景
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
穏和
(
おだやか
)
な声した
親仁
(
おやじ
)
は、笹葉にかくれて、
崖
(
がけ
)
へ半ば
踞
(
しゃが
)
んだが、黒の
石持
(
こくもち
)
の羽織に、びらしゃら
袴
(
ばかま
)
で、つり革の頑丈に太い、
提革鞄
(
さげかばん
)
を
斜
(
はす
)
にかけて、柄のない
錆小刀
(
さびこがたな
)
で、松の根を
掻廻
(
かきま
)
わしていた。
ピストルの使い方:――(前題――楊弓)
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
事件を引渡したと思われる——車掌が
勢
(
いきおい
)
なく戻って、がちゃりと
提革鞄
(
さげかばん
)
を一つ
揺
(
ゆす
)
って、チチンと遣ったが、まだ残惜そうに大路に半身を乗出して人だかりの
混々
(
ごたごた
)
揉むのを、通り過ぎ
状
(
ざま
)
に見て進む。
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
提
常用漢字
小5
部首:⼿
12画
革
常用漢字
小6
部首:⾰
9画
鞄
漢検準1級
部首:⾰
14画
“提革”で始まる語句
提革包
提革