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拱手
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きょうしゅ
ふりがな文庫
“
拱手
(
きょうしゅ
)” の例文
同じではない理由を云っても君侯の事だった、君言をもって、やらせておけというのでは老臣も
匙
(
さじ
)
を投げて
拱手
(
きょうしゅ
)
しているほかはない。
鬼
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
いとしい恋人の五体が戦慄すべき極微物の為に、徐々にしかも間違いなく、蝕まれて行く姿を、
拱手
(
きょうしゅ
)
して見守らなければならなかった。
虫
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
太平の天地だと安心して、
拱手
(
きょうしゅ
)
して成功を
冀
(
こいねが
)
う
輩
(
はい
)
は、行くべき道に
躓
(
つまず
)
いて
非業
(
ひごう
)
に死したる失敗の
児
(
じ
)
よりも、人間の価値は
遥
(
はる
)
かに乏しいのである。
野分
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
ポリネシア式の優柔不断が戦争を容易に起させないであろうことを唯一の頼として、
拱手
(
きょうしゅ
)
傍観している外はないのか? 権力を
有
(
も
)
つのは善い事だ。
光と風と夢
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
しかもあれほど太子を
讃仰
(
さんぎょう
)
した
筈
(
はず
)
の諸臣の
殆
(
ほとん
)
どすべてが、遺族の全滅に直面してはただ
拱手
(
きょうしゅ
)
傍観、入鹿の
暴虐
(
ぼうぎゃく
)
を黙視していたのみであった。人心は無常である。
大和古寺風物誌
(新字新仮名)
/
亀井勝一郎
(著)
▼ もっと見る
いまもしぼくらが水平線上に
船隻
(
せんせき
)
を発見したとしても、
拱手
(
きょうしゅ
)
して見送るよりほかはない。
少年連盟
(新字新仮名)
/
佐藤紅緑
(著)
作家としての、悪い
宿業
(
しゅくごう
)
が、多少でも、美しいものを見せられた時、それをそのまま
拱手
(
きょうしゅ
)
観賞していることが出来ず、つい腕を伸ばして、べたべた野蛮の油手をしるしてしまうのである。
盲人独笑
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
わが藩としても
拱手
(
きょうしゅ
)
傍観はできません、すぐさま奉行所の人数を繰出して、この宿の見張りをさせましょう、あなたはゆっくり休息して下さい、その武芸者になにかあったら即刻お知らせを
ひとごろし
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
さかまく水勢をながめて、
拱手
(
きょうしゅ
)
傍観のありさま。
丹下左膳:03 日光の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
「——うむ、それもよかろう。しかし仲達、蜀の衰亡を、ただ
拱手
(
きょうしゅ
)
して待つわけでもあるまい。汝にいかなる計があっていうか」
三国志:09 図南の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
迷亭が帰ってから、そこそこに晩飯をすまして、また書斎へ引き揚げた主人は再び
拱手
(
きょうしゅ
)
して
下
(
しも
)
のように考え始めた。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
模写してみたところで
所詮
(
しょせん
)
ははかない希望にすぎまい。今更どうにも補修出来かねるらしい。
拱手
(
きょうしゅ
)
傍観してその崩壊を眺めているより他に
術
(
すべ
)
はないのだ。しかしこれが壁画の運命であろう。
大和古寺風物誌
(新字新仮名)
/
亀井勝一郎
(著)
「孟達の反心は歴然。なぜ
拱手
(
きょうしゅ
)
して見ているか。直ちに
上庸
(
じょうよう
)
、
綿竹
(
めんちく
)
の兵をあげて、彼の不義を鳴らし、彼の首を討ち取るべし」
三国志:10 出師の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「何故、全軍を押し出して、敵を蹴ちらしてしまわぬのですか。この機を、
拱手
(
きょうしゅ
)
して眺めているようなことで、一軍の将といわれましょうや」
新書太閤記:03 第三分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「いまにして、荊州も取り給わず
遅疑逡巡
(
ちぎしゅんじゅん
)
、曹操の来攻を、
拱手
(
きょうしゅ
)
してここに見ているおつもりですか」と、ほとんど、玄徳の戦意を疑うばかりな語気で
詰問
(
なじ
)
った。
三国志:07 赤壁の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
上月城
(
こうづきじょう
)
を攻めたときなども、村重は前線にありながら、一方の山に陣したきり、戦機が熟して来ても秀吉から命令があっても、
拱手
(
きょうしゅ
)
して戦わなかったことなどもある。
新書太閤記:05 第五分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
辱
(
はじ
)
や体面を考えると、限りなく不愉快になった。北陸の軍馬をすぐってここまで臨みながら、
拱手
(
きょうしゅ
)
して、秀吉の大活躍を眺めているごときは、真に、彼の耐えうることではない。
新書太閤記:08 第八分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
と、家康も、丘に立って、しばらく
拱手
(
きょうしゅ
)
したまま、嘆称していたということである。
新書太閤記:04 第四分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
拱手
(
きょうしゅ
)
して
傍観
(
ぼうかん
)
する? それも、友情としてしのびないではないか。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
“拱手 ”の意味
《名詞》
中国で両手を胸元で組み合わせる挨拶。
腕を組んで何もしないこと。
(出典:Wiktionary)
拱
漢検1級
部首:⼿
9画
手
常用漢字
小1
部首:⼿
4画
“拱手”で始まる語句
拱手傍観