手捕てどり)” の例文
手捕てどりにしようとして我れ勝ちにのぼって来るのを上で米友が手練しゅれんの槍。と言ってもまだ穂はつけてないから棒も同じこと。
人影に驚いて岩の下へ隠れたのをさいわいに、上下を堰止めて大金が造作なく手捕てどりにした。二疋とも尺に近い。産卵する為にこんな小沢に上るのだそうだ。
秋の鬼怒沼 (新字新仮名) / 木暮理太郎(著)
山奥で猟をするものに聞くと、狸ほど安々と手捕てどりに出来るけものほかに無いさうだ。追ひ詰めて獣が狼狽うろたへるとき
庶幾こいねがうところなりとて、すでに、軍、立つを大国に聞き付けて万が一の勢なるが故に軽しめ嘲りて、手捕てどりにせんとするを聞きて、大臣公卿にのたまわく、合戦の時多くの人死せんとす。
取り落すにぞお花は直くと立上り樣吾助が肩先かたさき五六寸胸板むないたかけ斫込きりこんだり然れども吾助はしにもの狂ひ手捕てどりにせんと大手をひろげ追つまくりつ飛掛るをお花は小太刀こだち打振々々うちふり/\右にくゞり左に拂ふを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
「誰が、手捕てどりにしたのじゃ」
宮本武蔵:02 地の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
手捕てどりにすべき鱒の子の
花守 (旧字旧仮名) / 横瀬夜雨(著)
雄吉が手捕てどりにしてやると言いながら、そっと天幕の後から脱け出して、草叢をう蛇の如く忍び足で覗い寄りさま、たくみに八、九尺の距離まで近付くと
大井川奥山の話 (新字新仮名) / 木暮理太郎(著)
鸚哥は広い世間へ飛び出すには飛び出したものの、何処にも余りい事は転がつてゐないので、もう籠恋しくなつてゐた時だつたから、直ぐ手捕てどりにされて、もとの将軍家に連れ還られた。
はづみをつて閾越しきゐごしに庭に転げ込んで来るので、直ぐ手捕てどりにする事が出来る。
といふ間もなく、耳の長いけものは直ぐに手捕てどりにせられた。