悪鬼あっき)” の例文
旧字:惡鬼
恐ろしい力で、これを、ふりほどき、つきとばし、悪鬼あっきのようにあれまわって、岩の廊下を、奥へ、奥へと走っていきます。
魔法博士 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
(月雲にかくる)あゝ信頼のぶよりの怨霊よ。成親なりちかの怨霊よ。わしにつけ。わしにつけ。地獄じごくに住む悪鬼あっきよ。陰府よみに住む羅刹らせつよ。湿地しっちに住むありとあらゆる妖魔ようまよ。
俊寛 (新字新仮名) / 倉田百三(著)
あかねいろの都の空にまたしても悪鬼あっき羅刹らせつのよろこび声が聞える時の迫りつつあるのではないかと戦慄した。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
広巳は悪鬼あっきのようになって追っかけた。定七も広栄もどうすることもできなかった。
春心 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
と、悪鬼あっきこぶしを固めて、青竜王を丁々ちょうちょうなぐった。探偵は歯を喰い縛ってこらえた。
恐怖の口笛 (新字新仮名) / 海野十三(著)
しかもそれ等の霊魂は、死の瞬間におい忿怒ふんぬに充ち、残忍性に充ち、まるで悪鬼あっき夜叉やしゃの状態に置かれて居る。そんなのが、死後の世界から人間世界に働きかけて、いつまでも禍乱からんの種子を蒔く。
マグダラのマリヤにきまとった七つの悪鬼あっきを逐われたことを、死んだラザルを活かされたことを、水の上を歩かれたことを、驢馬ろばの背にジェルサレムへ入られたことを、悲しい最後の夕餉ゆうげのことを
おしの (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
悪鬼あっき羅刹らせつよりも物凄い。
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
と、玄徳は、身によろいを重ね、宝剣をき、悪鬼あっき羅刹らせつも来れと、心をすえて更に駒をすすめた。
三国志:09 図南の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
頭上にごうごうどすんどすんと天地をゆすぶる雷鳴を聞きながら、腕組みをした悪鬼あっきのごとき形相ぎょうそうの谷博士が、まばたきもせず、ガラス箱の中の人造生物をみつめている光景のすさまじさ。
超人間X号 (新字新仮名) / 海野十三(著)
中原ちゅうげん土岐とき源氏の旗をひるがえす考えで貯蔵しておいた火薬が、今は、祖先からの城を、一片の焦土に化して、悪鬼あっきのように、人のかばねも、山の木々も、焼き立てているのだった。
新書太閤記:02 第二分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
X号はにたにたと、悪鬼あっきの笑いを浮かべながら、博士の頭にメスを入れた。
超人間X号 (新字新仮名) / 海野十三(著)
しかし、ひとたび人間が、信念に身をかためてむかう時は、刀刃とうじんも折れ、どんな悪鬼あっき羅刹らせつも、かならず退しりぞけうるという教えもある。ふたりがふりかぶった太刀は、まさに信念の一刀だ。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
『やっ。悪鬼あっき?』